(※写真はイメージです/PIXTA)
熟年離婚に至ったワケ
ハナエさん(65歳)と夫のタカフミさん(66歳)の関係が決定的に変わったのは、3年前に一人娘が結婚して家を出て行ったときでした。
それまでは子どもを介した会話があり、家族としての形を保っていましたが、夫婦二人きりの生活になると家の中は静まり返りました。長年、お互いに不満を抱えながらも目を背けてきた「仮面夫婦」の暮らし。まだ娘が小学生だったころ、夫の不貞を理由に「絶対に別れる!」と激しい口論になったこともありましたが、娘から父親を取り上げるわけには、と離婚を踏みとどまりました。
これから迎える老後、手と手を取り合って仲良く暮らしていくことが課題だとわかってはいたものの、長年積み重なったすれ違いの溝は埋まりませんでした。
ある日、些細なきっかけから互いの不満が爆発。冷めきった話し合いの末、驚くほどあっさりと離婚が決まりました。長年連れ添った夫婦でありながら関係を再構築できなかった悲しさはあったものの、当時は「これでようやく肩の荷が下りた」という強い解放感があったとハナエさんは振り返ります。
話し合いの結果、ローンを完済している持ち家(評価額2,500万円)と預貯金の一部として3,500万円をハナエさんが受け取り、タカフミさんが出て行く形になりました。
離婚時の条件整理において、夫婦の資産と収入は明確に分担されました。
離婚前の夫婦の総資産は約1億2,000万円。内訳は、評価額2,500万円の持ち家、夫婦で蓄えてきた退職金と預貯金の残高4,500万円と株高で増えた株式5,000万円です。これを折半する形で財産分与を行い、ハナエさんは家と預貯金を取得。株式とそのほかの現金類6,000万円はタカフミさんが引き取ることに。
また、収入面においても「年金分割(合意分割)」の手続きを行いました。離婚前の夫婦の公的年金受給額は、元会社員のタカフミさんが月額28万円(基礎年金6.8万円+厚生年金21.2万円)、専業主婦で短時間パート経験のあるハナエさんが月額7万円(基礎年金6.8万円+厚生年金0.2万円)で、夫婦合計は月額34.8万円でした。
婚姻期間中の厚生年金記録を折半した結果、タカフミさんの厚生年金から月額10.6万円分がハナエさんに分割される形となり、ハナエさんが受給できる年金額は月額7万円から「月額約17万円」へと増額されました。
住む家を確保し、月17万円の年金と家と3,500万円の資産を手に入れたハナエさん。経済的な準備を整え、意気揚々と新生活を迎えるはずでした。