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仕事があっても、生活保護の対象になることがある
生活保護は無職の人だけを対象とする制度ではありません。働いて収入があっても、世帯の収入が国の基準で計算する「最低生活費」に届かず、資産の活用などの要件を満たす場合には、対象になる可能性があります。
最低生活費は、住んでいる地域や世帯人数、年齢、家賃などによって異なります。ひとり親家庭では、要件に応じて母子加算や児童養育加算なども考慮されます。「月収がいくら以下なら受けられる」といったように全国一律の金額で判断することはできません。
また、働ける人には、その能力に応じて働くことが求められます。ただし、働ける時間や仕事を判断する際には、育児などの事情も考慮されます。Aさんの場合も、学童保育の利用時間や子どもを預けられる人の有無などを具体的に伝えることが大切です。
給与や児童扶養手当はどう扱われる?
生活保護費は、原則として最低生活費から制度上認定される世帯の収入を差し引いて計算します。ここで知っておきたいのが、給与の手取り額がそのまま収入として認定されるわけではないという点です。
給与については、社会保険料や通勤費などの必要経費に加え、収入額に応じた基礎控除などの「勤労控除」があります。一定額を収入認定から差し引く仕組みで、働いた収入の全額が、そのまま保護費の減額につながるわけではありません。
一方、児童扶養手当や児童手当、実際に受け取った養育費などは、原則として収入に含まれます。これらを受けているから生活保護が一律に対象外になるわけではありませんが、手当と生活保護費を単純に上乗せして受け取れるわけでもありません。
Aさんについても、給与だけでなく各手当や資産の状況まで確認しなければ、受給できるかどうかや金額は判断できません。受給開始後も収入の申告が必要で、給与や養育費などに変動があれば、その状況に応じて保護費が調整されます。
家計が行き詰まる前に、働き方も含めて相談を
相談・申請先は、お住まいの地域を担当する福祉事務所の生活保護担当です。給与明細、手当の支給額がわかる通知、通帳、家賃のわかる書類などがあれば、状況を説明しやすくなります。ただし、必要書類がすべてそろっていなくても申請はできます。「いきなり役所に相談するのはちょっと……」という場合は、生活保護を専門に取り扱っている行政書士や弁護士に相談するのも一つの方法です。
「収入が少ない」という説明に加え、毎月どのような支払いで困っているのか、なぜ勤務時間を増やせないのかを伝えましょう。収入と支出、子育ての状況を整理することが、利用できる支援を検討する手がかりになります。
働き続けることと、公的支援を利用することは両立できます。「働いているから対象外」と決めつけず、子どもとの生活を維持するために利用できる制度がないか、まずは相談してみてください。
吉本 翼
Wing社会保険労務士・行政書士事務所
代表