経済的な余裕がある親世代が増える一方、良かれと思った過剰な干渉が原因で子ども世代と断絶するケースも。なぜ「良かれと思ってした援助」が拒絶されたのか。ある親子の事例から、現代の親子間における適切な距離感と支援のあり方を考えます。
「もう二度と連絡してくるな!」42歳息子からのLINEに唖然…〈年金月32万円〉70代夫婦が犯した間違い ※写真はイメージです/PIXTA

執拗に中学受験を勧める親にキレた!

2人の言葉に違和感を覚えた健太さん。子どもの教育に口を出さないよう、釘を刺しました。しかし後日、美智子さんは孫に直接こう話しました。

 

「中学生になったら、もっと勉強しないとね。おばあちゃんは中学受験したほうがいいと思うよ」

 

孫は「パパとママに聞いてみる」と答えました。この話を聞いた健太さん、堪忍袋の緒が切れたといいます。

 

「子どもに言うなんてどうかしてる!」

 

そんな怒りの言葉に対して、「お金は出すんだから。あなたたちのことを思って言っているのよ」と反論。しかしこの言葉は、火に油を注いだだけでした。

 

「金を出すことを理由に自分たちの考えを押し付けるな。俺たちは一度も『お金を出して』と頼んだことはない」

 

誠さんには、意味が分かりませんでした。これまで何も言われなくてもお金を出してきた。孫にもお金を使ってきた。それなのに、なぜ感謝されるどころか、拒絶されるのか。

 

「だったら、もう何もしてやらない」

 

思わずそう言った誠さんに、健太さんは「それでいい」と答えました。そんなやりとりがあったあとでも、LINEで中学受験を促したそうです。それに対して、健太さんは「もう二度と連絡してくるな!」というメッセージを送りました。誠さんと美智子さんをブロックしたそうです。

 

親が良かれと思って孫の教育に過剰に口を挟む行為が、親子関係の致命的な破綻を招く――国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査(2022年)』によると、子どもの「教育・進路を決めるときの相談相手」として「夫」を挙げる妻の割合が87.7%に上るのに対し、「親(祖父母)」を挙げる人はわずか4.2%にとどまります。

 

データが示すように、現代の夫婦にとって子どもの教育方針は夫婦間のみで決定すべきプライベートな領域。祖父母が踏み込むべきではないといえるでしょう。金銭的支援を口実に介入することは厳に慎み、一歩引いて夫婦の判断を尊重する姿勢が求められています。