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「夏期講習代、お願いできない?」娘からのお願い
「今年も夏期講習代、お願いできないかな」
娘からそう頼まれたとき、東京都内に暮らすサトミさん(71歳・仮名)は、すぐに「いいよ」とは答えられませんでした。
サトミさんは73歳の夫と2人暮らし。夫婦の年金収入は月30万円ほどで、金融資産は約3,000万円あります。住宅ローンはすでに完済していますが、これから先、医療や介護にどれだけお金がかかるかはわかりません。
20万円といえば、夫婦の年金収入の半月分を超える金額です。老後資金に大きな不安を抱えているわけではないものの、気軽に何度も出せる金額ではありません。
それでもサトミさん夫婦は、孫たちの教育については「できる範囲で応援してあげたい」と考えてきました。
43歳の一人娘は夫と共働きで、神奈川県で中学2年生の長女と小学6年生の長男を育てています。
「娘たちも2人で働いています。でも、これから高校、大学と2人分の教育費がかかるでしょう。私たちも余裕があるわけではありませんが、孫が頑張りたいというなら、できることはしてあげたいと思っていました」
数年前、上の孫が中学受験を控えていたときも、サトミさん夫婦は夏期講習代の一部として約20万円を援助しました。
「上の子は本人がすごくやる気だったんです。行きたい学校もあって、自分から塾の宿題をやっていました。そこまで頑張っているなら応援してあげようと思いました」
その後、上の孫は無事に志望校へ進学。現在は中学2年生になり、友人にも恵まれ、楽しい学校生活を送っているそうです。
そして今年、小学6年生になった下の孫も中学受験を控えることになりました。
娘からは、上の子のときと同じように、夏期講習代として約20万円を援助してほしいと頼まれます。
しかし、サトミさんには以前から気になっていることがありました。
母の疑念「本当にこの子、中学受験したいの?」
下の孫も進学塾には通っていました。
ただ、姉のときとは様子が違いました。塾では下位のクラスに在籍し、成績もなかなか伸びません。
とはいえ、サトミさんが気にしていたのは成績そのものではありません。
「塾の話をしても、あまり楽しそうじゃないんです。塾の日になると嫌そうな顔をしていましたし、『中学受験したいの?』と聞いても、はっきりした答えが返ってこない。本人が本当に望んでいるのかなと思っていました」
以前からサトミさんは娘に、「一度、本人が本当に受験したいのか聞いてみたほうがいいんじゃない?」と伝えていました。
また、現在の塾そのものが下の孫に合っていないようにも見えたといいます。
「上の子には合っていた塾でも、弟にも合うとは限らないでしょう。もう少し本人に合ったところを探してもいいんじゃないか、と娘には言っていました」
しかし娘は、「もう6年生なんだから今さら塾を変えられない」「ここまでやってきたんだから」と聞き入れませんでした。
そして夏期講習代の援助を頼まれた際、サトミさんは改めて切り出しました。
「20万円を出すこと自体が嫌なわけじゃないの。でも、その前に一度、本人がどうしたいのかきちんと聞いてみたら?」
すると娘から返ってきたのは、思いがけない言葉でした。
「お母さん、ちょっと過干渉じゃない?」
サトミさんも、思わずカッとなりました。
「そこまで言うなら、今年の夏期講習代は出さない」
電話は気まずい空気のまま終わりました。