「年金をもらっているから生活が苦しくても公的支援を受けられない」――そのように思っている人は多いかもしれません。実は、年金収入やその他の所得が一定基準以下の場合には、年金とは別に「年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。2026年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5,620円です。月6万円台の年金で貯金を取り崩しながら生活する68歳女性の事例をもとに、対象者や給付額、見落としやすいポイントを社会保険労務士・行政書士の吉本翼氏が解説します。
「年金は月6万円台…貯金がどんどん減っていく」68歳女性が知らなかった〈年金生活でももらえるお金〉【社労士・行政書士が解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

全員に「月5,620円」が支給されるわけではない

2026年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5,620円です。2025年度の月額5,450円から3.2%引き上げられました。

 

ここだけを見ると、「老齢年金生活者支援給付金の対象になれば毎月5,620円がもらえる」と思うかもしれません。しかし、実際の給付額は、国民年金保険料を納付した期間や免除された期間などに応じて計算されます。

 

保険料納付済期間に基づく部分については、「5,620円×保険料納付済期間÷480月」という計算が基本です。さらに、国民年金保険料の免除期間がある場合には、免除期間に応じて算出した金額も加算されます。

 

つまり、5,620円は給付額を計算するための基準となる金額であり、対象者全員に同じ金額が支給されるわけではありません。ミチコさんが実際にいくら受け取れるのかについては、これまでの保険料納付済期間や免除期間などを確認して計算することになります。

 

所得が基準を少し超えていても対象になることがある

「自分の年金は基準を少し超えているから対象外」と思っている人にも、確認してほしい制度があります。それが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。

 

所得基準をわずかに上回っただけで給付額が突然ゼロになると、給付金を受け取れる人と受け取れない人との間で所得が逆転してしまう可能性があります。これを防ぐために設けられているのが、この補足的な給付です。

 

2026年度の場合、昭和31年4月2日以後生まれの人については、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計が80万9,000円を超えていても、90万9,000円以下であれば、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象となる可能性があります。

 

昭和31年4月1日以前生まれの場合は、90万6,700円以下です。補足的老齢年金生活者支援給付金では、所得に応じて給付額が調整されます。そのため、「基準を数万円超えているから自分は対象外」と決めつけず、該当する可能性がないかを確認することが大切です。