「年金をもらっているから生活が苦しくても公的支援を受けられない」――そのように思っている人は多いかもしれません。実は、年金収入やその他の所得が一定基準以下の場合には、年金とは別に「年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。2026年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5,620円です。月6万円台の年金で貯金を取り崩しながら生活する68歳女性の事例をもとに、対象者や給付額、見落としやすいポイントを社会保険労務士・行政書士の吉本翼氏が解説します。
「年金は月6万円台…貯金がどんどん減っていく」68歳女性が知らなかった〈年金生活でももらえるお金〉【社労士・行政書士が解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

日本年金機構から届く「請求書」を放置しない

老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには、最初に請求手続きが必要です。

 

すでに基礎年金を受給している人については、日本年金機構が市町村から提供される所得情報などをもとに、支給要件に該当するかを判定します。

 

前年より所得が下がるなどして新たに対象となった人には、「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。この書類が届いた場合は、「年金はもう受け取っているから関係ない」とそのままにせず、内容を確認して請求することが大切です。

 

一方、すでに年金生活者支援給付金を受給しており、翌年度も引き続き支給要件を満たしている人については、毎年あらためて請求する必要は原則ありません。日本年金機構が前年の所得情報などをもとに、引き続き対象となるかを判定します。

 

月数千円でも、貯金を取り崩して暮らす人には大きい

年金生活者支援給付金について、「月数千円程度ならそれほど変わらないのでは」と感じる人もいるかもしれません。

 

たしかに、この給付金だけで老後の生活費の不足がすべて解消されるわけではありません。しかし、ミチコさんのように年金だけでは生活費が足りず、毎月預貯金を取り崩している人にとっては、月数千円でも意味があります。仮に毎月5,000円を受け取ることができれば、年間では6万円です。その分だけ、預貯金から取り崩す金額を抑えることができます。

 

老後の生活では、「今いくら貯金があるか」だけではなく、「毎月どれくらいのペースで減っているか」も重要です。年金生活者支援給付金は、老後の生活を一変させるような高額な給付ではありません。それでも、限られた年金と預貯金で生活している人にとって、本来受け取れる給付を確実に受け取る意味は小さくありません。

 

なお、年金生活者支援給付金は所得税・復興特別所得税の課税対象にはなりません。「年金はもう決まった金額だから、これ以上受け取れるものはない」と考えている人でも、所得や世帯の状況によっては対象となることがあります。

 

日本年金機構から年金生活者支援給付金に関する書類が届いた場合には、まず内容を確認してください。自分が利用できる制度を知り、本来受け取れる給付をきちんと受け取ることも、老後の生活を守るための大切な一歩です。

 

 

吉本 翼

Wing社会保険労務士・行政書士事務所

代表