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緩やかな「つながり」が生む安心感
京子さんの移り住んだ団地は、いわゆる再生団地。老若男女、新しい住民が集い、新たにコミュニティが構築されていきます。
「そこまで深い関係ではないけど、家を出れば誰かに会って、挨拶をして、少し立ち話をして。困っていたら声をかけてくれる――前に住んでいたところも、昔はそんな雰囲気だったよね」
ほどよい距離感。京子さんにとって、とても居心地がよく、安心できる環境だったようです。
もちろん団地といっても、すべてが同じではありません。老朽化した建物もあれば、改修や建て替えによって新しい住民を迎えているところもあります。実際、UR都市機構では、団地を多世代が暮らす「ミクストコミュニティ」の場として再生する取り組みを進めています。集会所や広場を活用し、高齢者だけでなく子育て世代なども参加できる交流の場を設ける事例もあります。
京子さんの暮らした団地にも、住民が集まる場所がありました。京子さんはそこで、顔見知りを増やしていきました。
「母は、私が思っていたよりずっと楽しそうでした」
かつては、戸建てに移ることが「より良い暮らし」だと思っていた。しかし、年齢を重ねれば、家の広さや所有することの意味は変わっていきます。
管理の手間が少ない。
生活に必要な施設が近い。
そして、家を出れば誰かと顔を合わせる。
そうした環境が、ひとり暮らしの高齢者にとって支えになることがあります。
前出の調査では、住み替えを巡る高齢者の「つながりへの不安」も浮き彫りになっています。住み替えが実現しない理由として、「友人・知人等と疎遠になる(7.6%)」や「移り先に馴染めるか不安(13.5%)」が上位に挙がり、単身世帯ではこの懸念がさらに高まります。
しかし、京子さんのように一歩を踏み出し、住宅や地域に「十分満足している」高齢者の9割以上が幸福感を得ていることも同調査で示されています。新たなコミュニティや人とのつながりを得られるかどうか――高齢期の住み替えが吉と出るか凶と出るかの重要なカギといえそうです。