総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果」によると、世帯主が65歳以上の二人以上世帯における平均貯蓄額は2,494万円(60〜69歳では2,843万円)に達しています。住宅ローンの完済等も進む60代世帯の「純貯蓄額(貯蓄現在高から負債現在高を引いた額)」は平均2,609万円のプラスとなっており、長年勤め上げた蓄えや退職金によって、比較的ゆとりのある老後を迎えている世帯が多いことがわかります。一方、その子ども世代は……。事例を見ていきましょう。※事例の人物名はすべて仮名です。
ファーストクラスに乗ってみたかった…退職金1,100万円をつぎ込んで豪華ヨーロッパ旅行から帰国した66歳夫婦。2週間後、長女の一言で直面した「夢の代償」 (※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後の夢を叶えた夫婦

長年勤め上げた会社を66歳で退職したタツノリさん(66歳)。預金4,200万円に加え、退職金2,200万円を手にしたタツノリさんは、長年家族を支えてくれた同い年の妻・ナギサさんに感謝を込めて、ずっと温めていた「最高の退職祝い」を提案しました。

 

「行先はヨーロッパにしないか。一度でいいから、ファーストクラスに乗ってみたいんだ」

 

ナギサさんにとってヨーロッパは、新婚旅行以来、実に35年ぶりのこと。一方、現役時代に出張でスイスを訪れたことがあるタツノリさんには、「あの息をのむようなスイスの絶景を、いつかナギサにも見せてあげたい」という強い想いがありました。

 

当初は退職直後に行く予定でしたが、「もう少し円安が落ち着いてから」と様子を見ているうちに、為替はさらに円安へ。痺れを切らした二人は、「これ以上待っても歳をとるだけだ」と決行を決意。結果として円安の猛威を受け、イタリア、フランス、イギリス、スイスをめぐる1.5ヵ月の旅の総額は、退職金のちょうど半分にあたる1,100万円に膨れ上がりました。

天上の極上体験…ファーストクラスと夢の1.5ヵ月

羽田空港の専用ラウンジに足を踏み入れた瞬間から、二人の夢の時間は始まりました。

 

混雑する一般エリアとは隔絶された空間のなか、高級料理と最高級シャンパンを堪能。搭乗時刻になると優先的に機内へ案内され、用意されていたのはプライバシーが完全に保たれた個室空間でした。

 

ファーストクラスのCAによる細やかな接客を受けながら、雲の上で楽しむフルコースディナー。厳選された熟成ワインとともにいただく上質なステーキやキャビアは絶品で、食後にシートをフルフラットに倒して寝具に包まれた瞬間、ナギサさんは「生きているうちにこんな体験ができるなんて……」と感極まって涙を浮かべました。

 

現地に着いてからも、専用車での移動とホテルのスイートルーム。イタリアの歴史ある街並み、フランスの上質な芸術、イギリスの気品ある景観、そして旅のハイライトであるスイスの雄大なアルプスの絶景。タツノリさんもナギサさんも感動の連続で、一生忘れられない最高の思い出となりました。