国土交通省『建築着工統計調査(2025年調査)』によると、新築一戸建ての着工数における割合は、2階建てが約67%、1階建て(平屋)が約22%、3階建て以上が約10%となっています。過半数を占める2階建てに次いで、平屋も4軒に1軒の割合で選ばれていることがわかります。階段の昇り降りがなく、室内の移動がしやすいことから、平屋の人気が上昇しています。コンパクトで建築費が抑えられると思われがちな平屋ですが、実は2階建てよりも建物の本体価格が高くなる傾向があります。コンパクトな暮らしを求めて平屋の購入を検討しているユリさん(仮名・28歳)夫婦の事例を見ていきましょう。
「逆に高くなるとか意味わからん…」ミニマリスト気味の28歳共働き夫婦、モデルハウスで聞いた平屋の値段に〈頭が真っ白〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

コンパクトな暮らしを求めて平屋の購入を検討

「そんな…むしろ高くなるってことですか?」

 

太陽光がたっぷり差し込むショールームで、前田ユリさん(仮名・28歳)は頭が真っ白になりました。

 

ユリさんと夫のユウトさん(仮名・28歳)は、関東近郊の地方都市に住む会社員です。年収は2人合わせて700万円。現在は家賃8万8,000円のマンションに住んでいますが、将来を見据えて新築一戸建ての購入を考えています。

 

ユリさんもユウトさんも、日常生活に最低限必要なものがそろっていれば満足できるタイプ。洋服は半年に一度買えばいいほうで、ブランド物にも興味がありません。2年前に結婚してから、毎月15万円を新築費用として貯金しています。

 

「俺たちはミニマリストっぽいところがあるし、わざわざ無理して2階建てにしなくてもいいよね」

 

「うん。広すぎても子どもに目が行き届かなそうだし、別に2階はいらないんじゃない?」

 

1LDKの部屋でも2人で十分な広さだと感じていたユリさん夫婦は、コンパクトな暮らしを続けるために平屋を建てることにしました。10畳くらいの子ども部屋を作って、2人目ができたらパーテーションで仕切るかDIYで壁を設置すればいいよね、とスムーズに話がまとまっていきます。

 

1週間後、2人は県内の住宅展示場を訪れます。20棟以上あるモデルハウスのなかで、気になったハウスメーカーに話を聞いていきました。


最初に目に留まったのが、A社のモデルハウスです。清潔な木の香りが漂う室内を、営業担当者の案内でじっくり見て回ります。リビングにダイニング、廊下を隔てて和室や複数の個室があり、平屋とは思えない開放感です。南側と西側に大きな掃き出し窓がついていて、庭全体が見渡せることもユリさんの心を奪いました。

 

「ここ、すっごくいいね!」

 

思わず2人で顔を見合わせて笑顔になります。ユウトさんも「もうここに決めちゃう?(笑)」と上機嫌です。

 

平屋のほうが2階建てよりも高額…まさかの事実に妻ショック

A社のモデルハウスをすっかり気に入ってしまったユリさん夫婦は、営業担当の男性に建物の本体価格をたずねました。
 

「この辺のエリアだと、一般的な2階建てで2,500万円くらいはしますよね。平屋だと2階がない分、もっと安く抑えられますか?」
 

すると、男性が申し訳なさそうに口を開きます。

 

「いえ、実は……全く同じ広さなら2階建てよりも平屋のほうが高くなってしまうんです。この仕様ですと、建物だけで2,800万円ほど見ていただく必要がありますね」

 

「え? 平屋なのに、2階がないのにむしろ高くなるんですか……?」

 

平屋の場合、屋根の面積や基礎面積が2階建てよりも大きくなるため、同規模の2階建てと比較すると建築費が1割~2割ほど高くなる傾向があります。さらに、敷地面積が大きくなると、土地の評価額が上がって固定資産税が高くなることも考えられます。
 

平屋のほうが建物の値段が抑えられると思っていたユリさんは、大きなショックを受けます。そこからは、話の内容が全く頭に入ってきませんでした