夫は定年で「暇」になるはずが…妻の家事は楽にならない

定年後の夫婦関係を考えるうえで、見逃せないのが生活時間の男女差です。

総務省「令和3年社会生活基本調査」から、「家事」「介護・看護」「買い物」の1日あたりの総平均時間を合計すると、以下のようになります。

・60~64歳:男性50分、女性249分
・65~69歳:男性62分、女性262分

※「家事+介護・看護+買い物」の総平均時間を筆者が合計。週全体の1日あたり平均。

もちろん、すべての家庭がこのとおりというわけではありません。しかし、平均で見れば、60代になっても家事関連時間には大きな男女差があることがわかります。

会社員だった人にとって定年は、「仕事がなくなり、自由な時間が増える」出来事です。しかし、専業主婦だった妻にとっては夫が毎日家にいることで昼食の準備などが増え、「以前より自分の時間が減った」と感じることにつながります。

また、会社員時代の夫には職場という居場所がありました。同僚と会話をし、仕事を通して人とのつながりを持っていました。定年後、その居場所がなくなると「せっかく夫婦で時間ができたのだから」と、妻に話し相手や外出相手を求めるケースは少なくないでしょう。

一方、専業主婦の中には、夫が働いていた何十年もの間に、自分なりの生活リズムや人間関係を築いている人もいます。

つまり、夫が「2人の自由時間が増えた」と考えていても、妻にとっては「夫の自由時間が増えただけ」ということになりかねません。美和子さん夫婦は、まさにその典型例だったのです。