(※写真はイメージです/PIXTA)
娘を大人とみなして、18年越しの告白
高校を卒業し、大学入学を間近に控えた春。18歳になったカスミさん(仮名)は、母から小さな小箱を手渡されました。中に入っていたのは、小ぶりですが上品に輝く一粒ダイヤのピアス。
「大人になったお祝いだよ」
そういって微笑んだ母は、一息つくと、こう切り出しました。
「カスミに話さないといけないことがあるの」
それは、カスミさんにとっての母方の祖父母にまつわる話でした。
小さな違和感「ママのお父さんとお母さんは?」
共働きの両親のもとで何不自由なく育ったカスミさん。父方の祖父母とは年に何度も会い、可愛がられて育ちました。
ほんの少し変だなと思ったのは、小学生のときです。夏休み明け、友達と祖父母の話題になり、「おじいちゃんとおばあちゃんは、2人ずついるのが普通」と知ったカスミさんは、家に帰って母親に尋ねました。
「ママのほうのおじいちゃんとおばあちゃんはどこにいるの?」
すると母は少しだけ悲しそうな顔をして、「もう死んじゃったの」と答えました。当時のカスミさんは「ふーん、死んじゃったんだ」と深くは疑問に思いませんでした。
しかし成長するにつれ、小さな違和感が重なっていきます。
数年後、お盆の時期に「ママのお父さんとお母さんのお墓ってどこにあるの? お参りしないの?」と聞くと、母は「……お墓はないのよ」と答えました。そのときは「そういう家もあるのかな」と納得したものの、やはり少し変だなと思いました。
思い返せば、母の子ども時代の写真などを見たことは一度もありません。母に自分の両親がどんな人だったのか尋ねても、言葉を濁されたり、すんなり話を逸らされたりしていました。
「なにか事情があるのかな」。カスミさんは勘づきつつも、母の様子を察してそれ以上追及することはしませんでした。
母と祖父母が絶縁した理由
カスミさんの成人祝いの日、母の口から明かされたのは、実家との決別の理由です。話はいまから約20年前、カスミさんの両親が婚約したときにさかのぼります。
当時、母が婚約を報告すると、母の両親(カスミさんの祖父母)は大反対しました。反対の理由を尋ねても、「とにかく気に入らない」「ろくな男じゃない」と論理的でない感情論ばかり。「あとから振り返ると、両親はただ私を誰かに取られてしまうのが嫌だったんだと思う」と母は振り返ります。
説得を試みるなかで、母の両親は母の婚約者(現在のカスミさんの父)に対し、さまざまな暴言を吐きました。「本当に結婚するならあなたとは絶縁する」と叫び、頼んでもいないのに「お前たちに金銭的な援助なんて絶対にしないからな!」と吐き捨て、父の存在や人格そのものを否定するような言葉を投げつけたのです。婚約者が自分の親から理不尽に踏みにじられた瞬間、母のなかでなにかが弾け飛びました。
「親子だからってさすがに許せない」そう決意した母は、実家と決別。その後母には、母の両親から「別れるなら戻ってきてもいい」と何度か連絡が入ることがあったそうです。しかし母は、「夫にきちんと謝罪をするまでは会えない」と返答。これに対し両親は「なにも悪くない私たちが、なぜ謝らなければいけないのか」と、平行線のまま20年近くが経過し、今日に至ったといいます。