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老後資金1,300万円、「なんとかなる」と思っていた妻
ショウジさんは、大学卒業後に都内の中小企業に入社し、営業職として38年間勤め上げました。妻のフミノさんは結婚後、子育てのかたわらパートに出て長年家計を支えてきました。
ショウジさんが60歳の定年を迎えた日、支給された退職金は1,100万円。これまでコツコツ貯めてきた貯蓄600万円と合わせれば合計1,700万円です。子どもの教育ローンや住宅ローンの返済が想定以上に長引き、思うように貯蓄を増やせなかった時期もありましたが、定年時には住宅ローン400万円を残すのみ。ローンは退職金を使って繰上げ返済したため、老後資金は1,300万円になりました。
「それなりに蓄えもあるし、夫の再雇用と私のパート代があれば暮らしていけるだろう」と、フミノさんはどこか楽観的に捉えていたのです。
これまで家族のために休みなく働きづめだったショウジさんと、家事や育児、パートに追われてきたフミノさん。フミノさんは夫の退職祝いとして、前々から計画していた「草津温泉への旅行」をずっと楽しみにしていました。
老後資金1,300万円の現実
しかし、退職日の夜、二人の前に突きつけられた現実はフミノさんの期待を大きく裏切るものでした。
一番の計算違いは、ショウジさんの再雇用の失敗です。ショウジさん自身は60歳以降も再雇用制度で同じ会社に残り、65歳まで働く希望を持っていました。しかし、勤務先の業績悪化を理由に再雇用は叶わず、実質的な雇い止めに遭ってしまったのです。
再雇用を諦めたあとの再就職活動も難航を極めました。公的年金の受給が始まる65歳までの「無年金の5年間」を凌ぐため、ショウジさんは取り急ぎアルバイトを始めたものの、手取り収入は当然現役時代よりも減少。バイト代とフミノさんのパート代を合わせても生活費には届かず、毎月少しずつ貯蓄を取り崩さざるを得ない状況に陥りました。
手元にある1,300万円は、一見するとまとまった金額に見えます。しかし、65歳までの5年間は生活費を補填していくことを考えると、決して余裕のある額ではありませんでした。