「お父さん、今年もあそこ予約したから!」――娘からの弾んだ電話に、正孝さん夫婦は絶句しました。去年の猛暑の中、旅行代18万円を全額負担した上に熱中症寸前まで孫の世話をさせられた、あの「地獄のグランピング」。喉元過ぎればでうやむやにしていた1年後、再び悪夢が襲いかかります。なぜシニア世代の援助は断れず、膨らみ続けてしまうのか? 老後を守るための見直し方を、FPの三原由紀氏が解説します。
「このままじゃ破産するぞ」…総額18万円〈地獄の夏休み旅行再来〉に60代年金夫婦、顔面蒼白。「いくら可愛い孫でも無理です」のワケ【FPの助言】
孫との時間も、自分たちの老後も、どちらも大切にするために
自分たちがどうしたいかを判断するために、まずは年間の援助額をすべて洗い出してみることが第一歩です。仕送り、旅行費、お祝い事など、バラバラに使っていると全体像が見えなくなりがちですが、一度リストアップするだけで「思ったより多い」と気づけることがあります。
次に、簡単な表でよいので、年金収入と貯蓄、そこから援助や旅行に回している金額、医療費や住まいの修繕費など今後の出費予定を並べた簡易的なキャッシュフロー表を自分たちで作ってみるのもおすすめです。それでも判断が難しい場合や、より正確な見通しを立てたい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談し、専門的な視点でキャッシュフロー表を作成してもらうという選択肢もあります。
「孫と会えるのは、せいぜい小学校を卒業するまで」とはよく言われます。しかし同時に、祖父母自身が元気に動ける時間にも限りがあります。厚生労働省の最新の調査(令和4年)によると、日常生活に制限なく過ごせる「健康寿命」は男性でおよそ72歳、女性でおよそ75歳とされています。
69歳の正孝さんにとって、無理なく動ける時間は残り3年ほど。孫と濃く過ごせる時間と、そう変わらないのかもしれません。だからこそ「今年もいつも通り」ではなく、「今、何を一番大事にしたいか」を夫婦で選び取ることが、後悔のない過ごし方につながるのではないでしょうか。
心の中で疑問を感じながら、娘の「予約したよ!」を受け入れる必要はありません。娘側にしてみれば親はいつまでも「頼れる存在」であり、金銭や体力の影響ついて、きちんと理解できていないだけかもしれません。キャンセル料が発生する前に断り、別案を検討する方法もあるでしょう。
孫との時間も、自分たちの老後も、どちらも大切にするために――まずは年間の援助額を書き出してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
三原 由紀
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