後継者の道から一転…心を閉ざした息子

康介さんは幼い頃から何不自由なく育ちました。大学卒業後は都内の大手企業で法人営業として順調にキャリアを積み、32歳で結婚。30代半ばで会社を継ぐ“跡取り息子”として地元へ戻ってきたのです。

しかし、そこから少しずつ歯車が狂い始めました。

父の会社では営業課長として迎えられましたが、それが社員との軋轢を生みます。古参社員との溝が深まる中、若手経営者団体へ入って役員も引き受けることになり、夜は会合で毎晩のように出掛けるように。日中、会社を留守にすることもしばしばでした。

多忙な生活を送り始めた康介さん。その裏で、家庭は崩れ始めていました。育児は妻任せとなり、話し合う時間もなく、すれ違う日々。大きくなった溝が埋められず、とうとう離婚することに。最愛の娘とも離れて暮らすことになりました。

仕事のプレッシャー、そして家族がバラバラになったことをきっかけに、康介さんは心を閉ざしてしまいます。仕事に行けなくなった息子を心配した和代さんは、康介さんを自宅へ呼び戻したのです。

「きっと、すぐに良くなって働けるようになるはず」