夫が急逝…「遺族厚生年金」の調整で発覚した残酷な事実

4歳下の夫・リュウイチさんが、突然病気で急逝。リュウイチさんは長年会社員をしていたため、マサミさんには遺族厚生年金が支給されることになりました。

「悲しみは癒えないけれど、生活の助けになるわ」

そう思ったマサミさんですが、年金事務所で予想外の事実を突きつけられることになります。担当者が言うには、遺族厚生年金には“調整”が入るというのです。

マサミさんはすでに65歳を過ぎているため、リュウイチさんの遺族厚生年金と、自身の老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を併せて受給できます。

ただし、遺族厚生年金はマサミさんの老齢厚生年金に相当する額が差し引かれ、その差額分のみが支給されます(老齢基礎年金は調整の対象外)。しかも、この差し引かれる老齢厚生年金には、繰下げで増額された分も含まれます。

つまり、遺族厚生年金は120万円ですが、マサミさんの老齢厚生年金である57万円が差し引かれ、実際に受け取れる遺族厚生年金は63万円となります。

結果的に、リュウイチさんの死後にマサミさんが受け取れる年金総額は、自身の「老齢基礎年金(75万円)」「老齢厚生年金(57万円)」に、差額支給の「遺族厚生年金(63万円)」を加えた、合計195万円となります。

「5年間の我慢はムダだったなんて…」裏目に出た繰下げ受給

ここで、マサミさんは気がつきます。

「それって、繰下げ受給しないほうがよかったってことですか……?」

もし老齢厚生年金を繰り下げていなければ、遺族厚生年金120万円から差し引かれるのは40万円で、差額は80万円となります。

つまり、繰下げ受給をしなかった場合、リュウイチさん他界後の受給総額は、老齢基礎年金75万円、老齢厚生年金40万円、差額支給の遺族厚生年金80万円の合計195万円。繰下げをしてもしなくても、合計額に変わりがないことになります。

しかも、繰下げをしていなければ65歳~70歳になるまでの5年間も老齢厚生年金を受給することができたことにも気がつきました。

「5年間の我慢はムダだったってこと……? 私だけ長生きしても、意味がないじゃない……」

年金事務所の窓口で、マサミさんは思わず顔を覆いました。