節約生活で資産を築いた73歳男性

とある地方都市にひとりで暮らすAさん(73歳)。10年前に亡くなった妻Bさんと、若い頃から節約に励んでいた彼には、約6,000万円もの資産がありました。また、月額約17万円の年金の範囲内で生活できているため、よほどのことがない限り貯金が減ることもありません。

そんなAさんの自宅は、そこそこの広さがある庭付きの戸建です。築年数は古いものの、マンションにはない解放感、縁側から見える自然豊かな風景が気に入っています。また、車もあるため日常生活には困っていませんでした。

Aさんの“いきすぎた節約癖”に振り回される家族

Aさんには、都内で暮らす一人息子のCさん(39歳)がいます。Cさんは妻のDさん(37歳)と2人の子ども(8歳と6歳)との4人暮らしです。

孫のことが大好きなAさんは、Cさんに事あるごとに「次はいつ帰ってくるんだ」とせがみます。しかし、一家4人で帰省するにはかなりの費用がかかるため、Cさんは乗り気ではありません。

実はCさん、過去に一度「そんなに言うなら帰省費用を援助してよ」と頼んだところ、Aさんから「なにを言ってるんだ! 親の金をあてにするな!」と怒鳴られていました。そのため、積極的に帰省したいとは思っていなかったのです。

またAさんは、孫へのお年玉も1,000円しか渡しません。Cさんはこっそり「もう少しあげてやってくれないか?」と言ってみるものの、Aさんは断固拒否です。

さらに、Aさんの自宅から車で30分の場所にはテーマパークがあり、孫から「連れて行って」とせがまれた際も、費用がかかることを嫌がるAさんは、さまざまな理由をつけて連れて行きません。家やその周辺で過ごすことを提案するばかりでした。

「ケチだと思われるかもしれないが、なにが起きるかわからないし、備えておかないと。それに、自分が亡くなればCへの遺産になる。それはわかってくれるはずだ……」

Aさんはそんな思いから、極力お金を使わないような姿勢を貫いていたのです。

しかし、周囲が田んぼや畑に囲まれたAさんの家。普段都会で過ごしている孫たちは、そんなAさんの家に行っても楽しめることがありません。そのため、次第に祖父であるAさんのことを敬遠するようになり、都内に住んでいて、よく遊んでくれる母方の祖父母(Dさんの父母)にばかりに懐くようになっていました。