「私の人生、このままで終わるの?」妻が抱え続けた50年の不満

田中和子さん(82歳・仮名)は、地方都市で夫の耕三さん(84歳・仮名)と二人暮らしをしています。夫婦の年金収入は合計で月24万円ほど。持ち家があり、預貯金も2,500万円ほど保有。金銭的な不安はありません。

耕三さんは元地方公務員。真面目で責任感が強く、職場では周囲から信頼される存在でした。しかし家庭では、いわゆる昭和の亭主関白そのもの。家事はすべて妻任せ、食事の味付けが気に入らなければ文句を言う。 退職後も命令口調は変わらず、妻の趣味や友人付き合いにも理解を示しません。

和子さんは、そんな夫に50年以上寄り添ってきました。しかし80代に入り、気持ちに変化が生まれます。仲の良かった友人たちが、相次いで亡くなり始めたことがきっかけでした。

ある日、友人の葬儀から帰る車中で、和子さんは思いました。

「私の人生、このままで終わるの?」

これまで家族のため、夫のために生きてきました。自分の気持ちを押し殺しながら耐えてきた年月が頭をよぎります。もう80代、そう遠くないうちに夫婦で同じお墓に入ることになるでしょう。“死んでからも、この人と一緒”……考えるほどに、和子さんは耐えられなくなりました。

そして、その日の夕食後。 静かに耕三さんへ向かって言いました。

「あなたと一緒の墓には入りたくない。妻として死にたくない」

耕三さんは耳を疑いました。 まさか80代になって離婚の話を切り出されるとは、思ってもいなかったのです。