暴落の夜、すがるように相談した結果…

その直後、世界同時株安が起こります。基準価額は27,000円台後半から約2ヵ月で22,000円台前半へ、下落率は約2割。毎月10万円の積立はその間も続いており、投資総額は1,520万円になっていました。

一方で、画面の評価額は約1,220万円。まだ売っていないので実際にお金は減っていません。けれど含み損約300万円という数字は、投資を始めて3ヵ月の野際さんには耐えられない恐怖でした。

「まだ下がるのか。どこまで落ちるんだ」。眠れぬ深夜、すがるようにAIに相談しました。「怖くてたまらない。これ以上下がったら退職金が消える。もう逃げたほうがいいだろうか?」

繰り返した不安の言葉。その結果、AIの返答は、「不安で眠れないほどであれば、後退も合理的な選択肢です」というものでした。

「やっぱり売ったほうがいいんだ」

翌朝、震える指ですべてを売却。入金は約1,220万円。投じた1,520万円との差額約300万円の評価損が、確定損失に変わった瞬間でした。

「やめておけばよかった」
「投資なんかするんじゃなかった」

後悔が波のように押し寄せます。その勢いのまま、毎月10万円の積立も解約。野際さんは市場から完全に降りてしまいました。

損切り売却直後、市場は反転し最高値を更新

しかし、野際さんが本当に後悔したのは、ここからでした。

相場は、売った直後に底を打ち急反転。半年で史上最高値を更新し、上昇は翌年も続きます。結局、売ってから約1年後、基準価額は32,000円台まで回復。売ってしまった分をそのまま持ち続けていたら、約1,770万円。手元の約1,220万円との差は、およそ540万円。たった一晩の判断ミスで、それだけの回復を逃しました。

さらに痛いのがNISAです。野際さんが非課税口座に入れていた260万円分は、売ってしまうと枠がすぐには戻りません。復活は翌年以降で、年間の上限は360万円のまま。新しく投資したい分と、売った枠の埋め直しが同じ年にぶつかるので、取り戻すには何年もかかります。

「AIの言葉なんて信じるんじゃなかった……」