「うちの親はまだ元気だから大丈夫」と思っていても、介護の始まりはある日突然、なんの前触れもなくやってきます。本記事では、親の介護の事前準備不足と兄妹間の溝が原因で、退院直前に途方に暮れてしまった事例をもとに、要介護になる前にやっておくべきだった4つのことについて、CFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
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【CFPが解説】親が要介護になる前に「やっておくべきだった4つのこと」
今回のような事例は珍しいことではありません。親が健康なうち(要介護前)に進めておくべきだったことをFP視点でまとめました。
1.親の財産状況の「見える化」
介護が始まると、医療費、介護サービス費、リフォーム費、あるいは施設入居費など、まとまったお金が必要になる場面があります。
「突然くるそのとき」の前に親の通帳の保管場所、預金額、年金の受給額、実家不動産の名義などを親に聞くなどしてあらかじめ確認しておくことをおすすめします。親の財産が不明だと、子供が身銭を切ることになり、のちに兄妹間で「どちらがいくら出した・出さない」のトラブルになりかねません。
2.認知症に備えて財産管理の仕組みづくり
金融機関は本人の認知能力が低下したと判断すると、詐欺被害防止のために口座を凍結します。そうなると、たとえ実の子どもであっても、親の口座から入院費や介護費などの必要資金を引き出すことができなくなります。
いったん、口座が凍結されてしまうと、通常「成年後見制度」を利用しなければならず、凍結解除まで数ヵ月かかることも珍しくありません。
回避策としては、金融機関に事前に「委任状の提出」や「代理人カードの作成」などをして、子どもが預金を引き出せる環境を整えておくことが有効です。ただし、この手続きは本人の認知機能が低下する前にする必要があります。また、金融機関が本人の認知能力の低下を知ったあとは、口座が凍結されてしまう恐れがあるので、注意してください。
3.親の意向を確認して介護方針を決めておく
妹・キヨコさんは「後悔したくないから在宅で見たい」、兄・シゲルさんは「現実的に無理だから入院・施設」と、初期段階で意見が割れています。
「もし介護が必要になったらどこで暮らしたいか、どんな医療を受けたいか」を、ある年齢になったら親本人を交えて話し合っておくべきでした。
親の本心がわからないまま介護が始まると、キーパーソン(今回の場合、同居のキヨコさん)に負担が集中し、離れて暮らすシゲルさんが口だけを出すという、まさに今回の事例のような最悪のコミュニケーション不全に陥ります。「お母さんがこう望んでいた」という指針があれば、兄妹間も同じ方向を向きやすくなります。
4.介護者の「仕事と介護の両立計画」
「まだ、元気だから大丈夫……」と思っていても、ある日突然その日がやってくる可能性は誰にでもあります。いざというときのために、勤務先の「介護休業制度」や「介護休暇」の規定を確認しておきましょう。
親の介護のために仕事を辞めるのは極力避けるようにしたいです。50代後半での離職は自分自身の老後資金に大きな打撃となる恐れがあります。仕事は辞めず、介護保険サービスをフル活用して仕事と介護を両立する方法を模索してください。
一人で抱え込まずに「使えるものは使う」という心構えが大切です。
