令和7年版高齢者社会白書によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、三世代が同居している世帯の割合はわずか7%です。このように核家族化が進む一方、なかには“新しい形の同居”を模索する人も……。75歳男性と息子夫婦の事例をもとに、家事労働に報酬が発生するいわば「雇用同居」の実態と、そこに潜む問題点をみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
お義父さん、私を雇ってもらえませんか?…年金月16万円の75歳男性が、45歳“長男の嫁”から受けた「まさかの提案」【CFPの警告】
再三の「同居打診」を断ってきた75歳男性
タダシさん(仮名・75歳)は、1年前に最愛の妻を亡くしました。以来、夫婦で暮らしていた東京23区内の戸建てで一人暮らしを続けています。
収入の柱は月16万円の年金ですが、いまのところ心身ともに健康で医療費もかからず、お金のかかる趣味もないため、毎月3~5万円は手元に残ります。老後資金として確保してある1,000万円は手つかずのまま、余った生活費はそのまま預金に回しているため、預金残高はむしろ増え続けていました。
とはいえ、妻を亡くして以降不慣れな家事に四苦八苦しており、一人暮らしの寂しさも感じています。長男のトモキさん(仮名・47歳)は、そんな父を案じて何度も「一緒に暮らそう」と打診しますが、タダシさんは、「自分はまだ元気だから心配いらない」と言って、毎回断っていたそうです。
そんななか、GWに帰省した息子家族と外食をした際、いつものようにトモキさんから同居の話が持ち上がりました。
「何度もあれだけど、一人で大丈夫なの? 俺たちと一緒に住もうよ。だいぶ楽できると思うし、そのほうが父さんも安心でしょ」
「ありがたいけど、年寄りと同居なんて、マスミさん(※トモキさんの妻/仮名・45歳)に申し訳ないだろう。いよいよどうしようもなくなったら施設へ入る。心配はいらん」
いつものように断ると、ここまで静かに聞いていたマスミさんが、ふいに口を開きました。
「……お義父さん、それなら私を雇ってもらえませんか?」
タダシさんは、意味がわからずしばしフリーズ。トモキさんも状況が飲み込めず、きょとんとしています。
そんな2人に、マスミさんは「突然そんなこと言われても困りますよね」と笑い、自分の提案の真意を話し始めました。
