年金支給日の悲劇…「ただの尻もち」が生活を一変

その日は年金支給日でした。タエコさんは運動を兼ねて、徒歩20分の場所にある銀行へ出かけるのを恒例としています。

ところがその帰り道、家まであと100メートルというところで、小さな段差に足を取られ派手に尻もちをついてしまったのです。幸いなことに、通りかかった近所の人がタエコさんを家まで送り届けてくれました。転んだ直後は、恥ずかしさや申し訳なさで、痛みはそれほど感じなかったそうです。

しかし翌朝、起き上がろうとすると激痛が走り、布団から自力で出ることができなくなっていたのです。

キヨコさんが付き添って病院を受診すると、圧迫骨折しているとのことで、医師からは「しばらく安静に」といわれました。当分は、ベッドの上で生活を送ることになりそうです。

トイレに歩いていくこともできないタエコさんを見て、途方に暮れたキヨコさんは数年ぶりに、疎遠だったシゲルさんに連絡をしました。

「入院させるしかないだろ」母の介護方針で揉める兄妹

経緯を聞いたシゲルさんは、「しばらくの間、入院させるしかないだろ……」といい放ちました。

それに対して、「お母さん、かわいそうじゃない。入院なんて初めてだし、心細いと思うわ」と反発するキヨコさん。

しかしシゲルさんは、「そんなこといったって、トイレにも行けないんじゃ、日中一人にしておくこともできないだろ」と一蹴します。

あまりに冷酷で当事者意識のないその言葉に、キヨコさんは絶句してしまいました。

キヨコさんにも仕事があり、タエコさんにずっと付き添うわけにはいかなかったため、仕方なくシゲルさんの意見に従うことに。タエコさんが歩けるようになるまで、入院してもらうことにしたのです。