近年、長年連れ添った夫婦が別の道を歩む、いわゆる「熟年離婚」が目立っています。離婚にいたる原因はさまざまですが、「自由」を求めて離婚を決断したあと、“想定外の出来事”により残酷な現実が待ち受けているケースもあるようです。勢いで三行半を突きつけた60代夫婦の事例をもとに、熟年離婚の落とし穴と対策についてCFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「もう疲れました。離婚しましょう」…長年のワンオペ育児・義母の介護に限界を迎えた63歳専業主婦。〈財産分与800万円〉で“束の間”の自由を満喫も、直面した過酷な現実【CFPの助言】
「ようやく自分の人生を…」ワンオペ育児と介護を終えた63歳妻の限界
トモコさん(仮名・63歳)とカツヒコさん(仮名・66歳)夫婦は、昨年結婚40周年を迎えた熟年夫婦でした。
カツヒコさんが転勤族だったため、トモコさんは結婚を機に会社を退職。全国各地を転々としながら、専業主婦として家庭を支えてきました。
子どもの誕生を機に千葉県郊外に建売住宅を購入しましたが、夫の忙しさは変わらず、以降は単身赴任に。マイホームで腰を落ち着けることへの安堵感はあったものの、週末だけ帰ってくるカツヒコさんに子育ての協力は期待できません。
必然的に、トモコさんはワンオペ育児を余儀なくされました。なんとか3人の子どもが全員成人し家を出たころ、今度は近くに住むカツヒコさんの母の介護も担うことに。
それから10年ほど経ち、トモコさんが「母」と「義娘」という役割から解放されたのは、60歳を過ぎてからでした。
「ようやく自分の人生を取り戻せる」と思った矢先、今度はカツヒコさんが定年退職に。勤務先では希望すればあと2年は契約社員として働けるのですが、「もう働きたくない」とリタイアを選択したカツヒコさん。
定年後のカツヒコさんは、1日のほとんどを家で過ごします。トモコさんが家を出ようとすると「どこ行くの? 俺も行く」と、ちょっとした買い出しにも毎回ついてきます。
しかし、家事には一切ノータッチ。「自分の食器は自分で洗って」と頼んでも、「あとでやる」と言ったきり、湯呑み一つ洗ったことはありません。それなのに、「今日はパンじゃなく米の気分なんだ」「箸休めが足りない」などと、食事内容にはあれこれ口を出してきます。
そんなカツヒコさんに対し、トモコさんは不満を言えず悶々とした日々を送っていました。