かつて親しい仲間同士で夢を追い、共同で購入した思い出の場所。当時は美しい友情の証であったはずの「共有名義」が、時代の変化とともに次世代を苦しめる底なし沼へと姿を変えています。バブル期のリゾートマンションや、かつての原野商法で掴まされた山林など、親世代が処理しきれずに放置してきた負の遺産は、時を経て子どもたちの肩へと容赦なくのしかかってくるのです。親の古い登記簿を見つけたタツヤさん(仮名/51歳)の事例を見ていきましょう。
『いつか高値で売れる』と信じて富士山近くのリゾートマンションを売らなかった年金暮らしの85歳父…1DK「8万円」「30万円」の超低価格、バブルの残骸に51歳息子、撃沈 (※写真はイメージです/PIXTA)

問題先送りのツケを支払わされる次世代

タツヤさんのようなケースは、決して特異なケースではありません。バブル期に購入したリゾート会員権やマンション、使わなくなった別荘地、あるいは昔流行した「原野商法」で騙されて購入した山林など、負の遺産を抱え込んでいる親世代は非常に多いのです。筆者の親族や知人にも、「相続の手続きをして初めて発覚した」という頭の痛い話が一つや二つでは収まりません。

 

それが親だけの名義ならまだしも、今回のように親族でもない当時の仲間同士での共同所有となると、問題の難易度は跳ね上がります。

 

さらに現代においては、制度面の変化も無視できません。2024年4月から「相続登記」が義務化され、不動産の相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければ、過料を科される可能性が出てきました。もはや「面倒だからとりあえず放置する」という逃げ道は塞がれているのです。

 

多くの現役世代は、自身の資産形成には熱心ですが、相続を想定した親の資産まではなかなか気が回らないものです。しかし、場合によってはタツヤさんのケースのように、知らない間に「終わらない出費が続く負の資産」のバトンが、自分たちの手元へ引き継がれようとしているかもしれないのです。きょうだいがいる家庭では、争いを生む火種にもなりかねません。

 

親も高齢になると、考えることが面倒になり、問題を漫然と先送りしがちになります。だからこそ、親が元気なうちに一緒に「出口戦略」を考えたいところです。

 

なお、こうした所有者の焦りに付け込み、「あなたのリゾート物件を高値で買い取ります」などと謳って、高額な手数料や別の土地を売りつける悪質な詐欺業者がいることにも注意しましょう。一刻も早く手放したいからと安易に飛びつき、二次被害に遭うことだけは絶対に避けてください。まずは慌てず、信頼できる専門家に相談しながら、慎重に一歩を踏み出すことをお勧めします。

 

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