「FIRE」は感覚論ではなく、生活費を数字に落とし込み、自由を設計する行為です。「いくらあれば経済的自立を果たせるのか」という漠然とした不安に対し、明確な基準となるのが「生活費の25年分」という具体的な数値です。本記事では、生方正氏の著書『副業禁止の会社員、公務員でもできるFIRE入門 節約、ポイ活からでも資産1億円を築く方法』(WAVE出版)より一部を抜粋・再編集し、リタイア資金の算出方法や、年齢に応じたリスク管理を可能にする「資産配分の鉄則」について解説します。
いくらあれば「自由な人生」を手にできるのか…「FIRE」を実現するための〈25年ルール〉【40代でFIREした元公務員が解説】

「投資か、貯金か」の迷いを消す…資産形成の成否を分ける〈エイジスライド方式〉

投資に回す金額を増やせば、リターンは大きくなります。同時に、相場が崩れると、一気に目減りする可能性が高まります。その一方で、預貯金は相場につられて減ることがないため、生活を安定させてくれる安全なお金の置き場と言えます。

 

つまり、「投資か、貯金か」で考えるのではなく、資産をどう分けるかが、資産形成の成否を分けるカギなのです。

 

一般的な判断軸として有効なのが「エイジスライド方式」です。これは、「120年齢」が、リスク資産の上限割合(パーセント)、という考え方です。例えば、40歳なら、12040=80%。資産の最大80%までを、株式などのリスク資産に振り向けてもよい、という目安です。年齢が上がるほど守りが厚くなる、極めてシンプルで再現性の高いルールです。

 

ただし、これは絶対解ではありません。余剰資金の有無、目標額、家族構成、性格――条件が違えば、最適解も変わります。私は、半年以上の生活費を確保した人は、現金を寝かせる必要はないと考えます。資産は、働かせてこそ意味を持つからです。

 

しかし、知識ゼロで大金を投じるのは危険です。知識なしの運用は、運まかせの博打と変わらないからです。

 

だからこそ、大切なのは、「小さく始める」ことです。1,000円でも自分のお金を入れた瞬間に、相場の見え方は変わります。数字が感情を伴い、用語が現実と結びつき、投資の仕組みが腹落ちします。経験を積むことで、投資は「勉強」から「技術」へと変わるのです。

投資の本質は「続けられる仕組みを作ること」

資産配分に正解はありません。しかし、「考えずに放置すること」だけは、確実に誤りです。

 

年齢、家族、生活費、そして自分の性格――それを踏まえ、自分に合った配分を意識的に選び続けること。その積み重ねが、暴落時にも折れないメンタルと、長期で資産を伸ばす土台になります。

 

投資とは、当てるゲームではありません。続けられる設計を作る行為です。だからこそ、今日、この瞬間から、自分の資産と真正面から向き合うことが大切なのです。

 

 

生方 正

サービス創新研究所研究員/個人投資家