「人生が壊れない状態を作る」…制度や信用に依存しない〈金の真価〉
一方、金の現物は違います。特定の国家や制度、発行主体の信用に依存しません。金は何千年もの間、国境を越える決済手段として使われてきた「価値そのものの基準」です。国が変わり、制度が変わっても、金は国際市場において「普遍的資産」として取り引きされます。
この普遍性こそが、金の本質です。結果として、金価格は大きく上昇しました。守るために持った資産が、10倍になったのです。
しかし、それは単なる副産物にすぎません。重要なのは、価格ではありません。人生が壊れない状態を作れているかどうか、なのです。
金は利子や配当を生みません。盗難に遭えば、誰も補償してくれない資産です。それでも私は、金の現物を保有し続けます。なぜなら、「何も起きなかった未来」ではなく、「起きてしまった未来」に備えることこそが、真の資産形成だと確信しているからです。
インフレを引き起こす原因の1つに、紙幣の過剰発行があります。日本も、金融緩和政策の影響で、大量の紙幣を発行しており、諸外国から日本経済の先行きを心配する声があがっていますが、日本は今なお、世界第5位の経済規模を持ち、対外純資産は世界第2位。私は、少なくとも、すぐに国家が崩壊するとは考えていません。
しかし、人口減少と国力低下という現実を前に、能天気ではいられません。だからこそ、想定外を想定し、冷静に備える。それが、成熟した大人に求められる資産戦略なのです。
結論
◆金は資産防衛の要。増やす前に守れ。
◆信用に賭けるな。現物を持て。
◆資産の一部を「人生の保険」として切り離せ。
生方 正
サービス創新研究所研究員/個人投資家