定年を目前に控えた55〜65歳の人のなかには、「いまから年金受給額を増やすのは難しい」と諦めている人も多いのではないでしょうか。しかし、リタイア直前だからこそ実践できる〈年金受給額を増やす方法〉があることをご存じでしょうか。本稿では、企業年金制度と投資教育を専門として活動しているFPの山崎俊輔氏による著書『老後に4000万円って本当ですか? 物価が上がる時代の退職後資産の考え方』(日経BP・日本経済新聞出版)より一部抜粋・再編集し、55~65歳が年金増額のためにできる〈ひとつのこと〉について解説します。
現役でラストチャンス…55~65歳が「年金増額」のためにできる〈ひとつのこと〉【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

リタイア直前世代の「老後4,000万円」対策…推奨できない〈年金の繰上げ受給〉

55~65歳が年金を増やすためにできる「ひとつのこと」

あなたがもし、リタイア直前であって、完全リタイアに至っていないなら、もう少しできることが増えます。「老後4000万円」への対策がまだできる可能性があるのです。

 

まず、年金については「繰り上げ」でもらわないことを確認しましょう。

 

現状では65歳から本来の水準で公的年金が受給できますが、これを早くもらうことができ、最速では60歳からもらうこともできます。ただし1カ月早めるごとに0.4%が減額され、60歳まで5年間早めると24%も減額されるため、あまりおすすめはできません。

 

繰り上げで年金をもらう人は減っていますが、その選択があまり得ではないことが周知されてきているからでしょう。病気などを理由に、60歳でリタイア生活に入りたいような場合はもちろん繰り上げで年金を受け取っていただいてもかまいません。

2年遅らせるだけで「16.8%増額」…知っておきたい〈年金の繰下げ受給〉

逆に、後ろに年金受取開始を遅らせることもできます。

 

65歳よりも遅くもらう考え方です。これを「繰り下げ」といいます。繰り下げは1月あたり0.7%の増額ができます(66歳以降1月単位で決められる)。最大で75歳まで遅らせると84%も年金額が増えます。

 

とはいえ75歳まで受け取らずにいると、体力も低下してきてからたくさんの安定収入を確保するということになり、まだまだ現実的ではないので、数年から5年くらいの繰り下げをイメージして検討をしてみましょう。

 

高齢期の雇用条件に恵まれていて、日常生活費くらいを稼げているなら、65歳から年金をもらわず67歳まで繰り下げるだけで、年金額を16.8%増やすことができます。