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依存を断ち切れない親子に迫る経済破綻の足音
国立社会保障・人口問題研究所『第9回世帯動態調査』によると、18歳以上の子と同居している世帯において、その同居相手の続柄は「長男」が最も多く、同居している子の半数近くを占めています。
また、実家からの離家状況に目を向けると、男性の35〜39歳で19.0%が一度も離家を経験しておらず、ずっと親と同居し続けていることがわかります。さらに、男性の45〜49歳の未婚率は23.1%。このように、結婚や独立を機に実家を離れるという従来のライフコースが変化し、未婚のまま実家にとどまり、親と同居を続ける中高年層が一定数存在します。
親と同居していても、経済的にも精神的にも自立していれば問題はありません。しかし和也さんのように、十分な収入がありながら自立しているとは言い難い状況であれば、親の心配も当然です。
厚生労働省『介護給付費等実態統計月報』などから年代別の人口に占める要支援・要介護認定者の割合をみると、60代後半では2.9%ですが、70代後半では11.8%、85歳以上では60.2%と、加齢とともに加速度的に増えていきます。後期高齢者となった正雄さんにとって、70代後半の10人に1人が認定を受ける現状は、決して他人事ではないでしょう。
生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)』(2024年度)によると、介護に要した費用は、一時的な合計が平均47.2万円、月々の費用が平均9.0万円。場所別では、在宅の月額平均5.3万円に対し、施設では13.8万円となっています。
仮に施設へ入居するとなると、正雄さんの年金の大部分がその費用で消えるだけでなく、不足分は貯蓄を取り崩して対応することになります。そうなれば、自活できていない和也さんの生活が破綻することは目に見えています。
親という生活基盤が失われる前に、家族の距離感を冷静に見つめ直す必要があります。今のうちから無理にでも子の自立を促すことが、将来の共倒れを防ぐ現実的な解決策となるのです。