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「1,000万円の損」の話題も…“6年の長生き”で消えていく世代間の不公平
年金制度の批判において、よく主張されるのが「払った保険料分が、戻ってこない」というものです。世代間の不公平などでもこうしたロジックが主張されます。
実のところ、このテーマは問題設定自体にズレがあります。そもそも年金制度は「払った分回収する」ことが目的の制度ではないからです。
健康保険制度で「払った分、戻るか」を考える人はいません。払った保険料が戻るということは病気になっていることであり、私たちは「健康保険で損」したほうがいいからです。
年金保険制度だけなぜか損得の主張が広がりましたが、これは日本人の生存確率が高く多くの人が年金をもらえること、また長期にわたってもらうことが多いので収支計算が行えることによります。感覚的にも「払った分くらい、もらえるのか」という説明は響きます。
しかし、これも偏った主張です。たとえば、損得論では男性のデータを紹介していることがほとんどです。男女間には平均寿命の差が約6年ありますから、年金をもらう年数にも違いが出ます。同じデータでみると女性の世代間不公平はほとんどないのです。「損得するのは男性だけ。女性は損しません」とわざわざ言う破たん論者はいません。
男女で損得の差が出るということは、実は「1000万円の損」のような話題も、たった6年の長生きで不公平が消えていくということです。
長生きすれば元を取れる…年金制度で「払った分の回収」を考えるのは無意味なワケ
また、長生きすればたくさんもらえる、というメリットのほうはほとんど言及されません。
当たり前ですが公的年金は長生きすれば100歳でも110歳でも年金を支払ってくれます。この場合、払った保険料をはるかに上回る年金収入となります。しかし、年金のいい面は説明されません。
ズバッと言えば、年金制度において払った分を回収できるかは意味がないのです。
長生きをすれば誰でも元を取れるし、長生きできなかった場合も人生最期の日まで年金をもらえることで生活の基礎で困らないという安心があった、と考えるべきです。