多くの人にとって人生最大額の入金となるであろう「退職金」。しかしながらメディアで「老後2,000万円問題」について議論がなされるとき、退職金の存在について触れることはほとんどありません。それに加えて現役世代の多くが退職金についてほぼ何も知らないまま働いています。本稿では、企業年金制度と投資教育を専門として活動しているFPの山崎俊輔氏による著書『老後に4000万円って本当ですか? 物価が上がる時代の退職後資産の考え方』(日経BP・日本経済新聞出版)より一部抜粋・再編集し、老後における「退職金」の立ち位置について解説します。
「老後2,000万円問題」の議論のたびにスルー…ワイドショーのコメンテーターが「退職金」について触れないワケ【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

老後2,000万円問題の対策は〈退職金の理解からスタートする〉

しかも多くの場合、自分から主体的に知るのではなく、会社からの事前説明会などで内示されて金額を知ることが分かっています。59歳到達者に会社が継続雇用などの説明会を実施することがよくあり、そういうタイミングで退職金額をようやく知るのです。

 

では、残りの3人に1人は若いうちから退職金額を把握していたのか、というと怪しい数字がみつかります。「忘れた」と回答している人が2割いることです。

 

自分の人生における最大額の入金である退職金額を自覚した日を忘れているはずがありません。これは「実は退職日に知ったが、恥ずかしくて言えずに回答拒否した」とあえて解釈すれば、59歳以前に退職金額を知っていた人は、たった16.4%になります。ざっくり6人に1人です。

 

確かに、私たちは30歳代から40歳代にかけて退職金について無関心、あるいは懐疑的です。

 

「本当に退職金はもらえるの? 自分たちの世代はもらえないんじゃないの?」

 

「もらえてもたいした金額じゃないんだろう、知らんけど」

 

みたいな感じで退職金のことを考えています。具体的な金額は知るよしもありません。

 

それでは老後資金の準備も何もありません。「老後2000万円」の正しい対策は、実は会社の退職金・企業年金制度の理解からスタートするのです。

 

出典:『老後に4000万円って本当ですか? 物価が上がる時代の退職後資産の考え方』(日経BP・日本経済新聞出版)より抜粋
[図表]退職金は2000万円の準備金 出典:『老後に4000万円って本当ですか? 物価が上がる時代の退職後資産の考え方』(日経BP・日本経済新聞出版)より抜粋

 

 

山崎 俊輔

フィナンシャル・ウィズダム代表

ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー