(※写真はイメージです/PIXTA)
「仕方ない」と庇う夫と、実両親との間に感じる“圧倒的な差”
コウタさんは「親父たちには世話になっているし、弟もお金がないから仕方ないよ」といいますが、エミさんがさらにモヤモヤしてしまうのには、別の理由もありました。
それは、エミさんの実の両親の振る舞いと差があることです。
エミさんの両親と食事に行くと、「子供たちに払わせるわけにいかない。そのお金は孫のために使ってあげて」と、必ず全額支払ってくれるのです。
「自分の親と比べてはいけないとわかっていますが、どうしても差を感じてしまいます。この先もずっと、無職の義弟の分まで私たちが払い続けるのかと思うと、憂鬱で仕方がありません。でも、夫の家族のことを悪くいうと夫が可哀想で、結局何も変われずにいます」
家族間の金銭問題は、一度当たり前になってしまうと軌道修正が難しくなります。エミさんの抱えるストレスは、目に見えない形で夫婦関係にも影を落とし始めていました。
援助を受ける高齢者はわずか2.4%…データから見る高齢者の経済事情
エミさんがため息をつくのは、妻として無理もない感覚といえそうです。夫のコウタさんは「弟もお金がないから仕方ない」と庇いますが、客観的なデータに照らし合わせると、無職の義弟の甘えはもちろん、それを容認する義実家の金銭感覚も一般的な感覚からズレていることが読み取れます。
内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、子どもと同居している高齢者の約半数の49.8%が「子や孫の生活費を負担している」と回答しており、さらに全体の61.2%の高齢者が日々の生活費のために「預貯金の取り崩しをしている(よくある・時々ある)」と答えていることがわかります。
エミさんの義実家も、39歳で無職の義弟の生活費を年金から捻出し続けていることが家計を圧迫し、外食代を払う余裕をなくす一因になっていると推測されます。高齢の親に依存している身でありながら、一番高いメニューを平然と頼む義弟の厚かましさは言語道断ですが、だからといって長男夫婦に全額負担させるのが当然というわけではないでしょう。
同調査において、現在の収入源として「子や親族からの援助」を受けている高齢者は全体のわずか2.4%にとどまっています。多くの高齢者は自らの年金や貯蓄の範囲内で自立した生活を送っていると推測でき、エミさんの実両親のように「孫のために」と自ら費用を負担しようとする傾向があるように読み取れます。厚意による外食を「実質的な生活費の補填(援助)」として頼りにしており、それが当たり前だと感覚が麻痺してしまっているのかもしれません。
また、「無職のきょうだい」という義実家内部の問題を、自分たち夫婦の家計にまで持ち込ませないためには、夫の「仕方ない」という認識を改めさせる必要がありそうです。そして、義弟に対して毅然とした態度で、金銭的な境界線を引き直すべきであることを、これらのデータは示唆しています。
[参考資料]
内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」