配偶者との死別などを機に「孤独感」を覚えるシニアの増加は、内閣府の調査で読み取ることができます。他方で、就労している高齢者の約8割が生きがいを感じているというデータもあります。本記事では、夫との死別で社会とのつながりを失い孤独に苛まれていたキヨコさん(仮名・67歳)が、住み込みの「リゾートバイト」に挑戦した事例を紹介します。過酷な肉体労働の末、彼女が抱いた〈まさかの感想〉とは。
「体バキバキで初日から後悔。でも…」〈貯金2,200万円・年金月13.8万円〉67歳女性、3週間のリゾートバイトで口にした「まさかの感想」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「配偶者との死別」がシニアに与える孤独感

内閣府の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」によると、強い孤独感を抱えている人が「現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事」として最も多く挙げたのが、「家族との死別(24.6%)」でした。長年連れ添った配偶者を亡くした喪失感に加え、日々の会話相手がいなくなることも、シニアの孤独を深くする一因となるでしょう。

 

同調査では、同居していない家族や友人たちと直接会って話すことが「全くない」と答えた人は全体の9.3%で、他者とのコミュニケーションが途絶え、社会から孤立している層が一定数いることがデータからわかります。

 

一方で、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によれば、「就労・就業(仕事)」をしている高齢者に限ると、実に80.1%もの人が生きがいを「感じている」と回答しています。高齢者が働く理由は「収入のため(55.1%)」が過半数を占めるものの、「自分の知識・能力を生かせるから(12.4%)」や「仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから(3.0%)」といった、お金以上の「やりがい」や「社会とのつながり」を求めて労働を選択する人も存在しています。

 

十分な老後資金や年金があっても、社会から切り離された孤独な生活に耐えきれず、「働くこと」で人生の潤いを取り戻した60代女性の事例を見ていきましょう。

誰とも喋らない1日…〈貯金2,200万円・年金月13.8万円〉でも埋まらない心の穴

「朝起きてから夜寝るまで、誰とも一言も喋らない日が何日も続くんです。このまま誰にも必要とされず、ひとりぼっちで年をとっていくのかなって……それがすごく怖くて」

 

キヨコさん(仮名・67歳)は、3年前に夫を亡くし、現在は地方都市にある分譲マンションで一人暮らしをしています。専業主婦として長年家庭を支えてきたキヨコさんの老後の備えは、十分にあるといえるでしょう。都内の会社員だった夫が遺してくれた預貯金は約2,200万円。住宅ローンもすでに完済しており、遺族年金と自身の老齢基礎年金を合わせれば、毎月約13万8,000円が手元に入ります。

 

慎ましく暮らせば、貯金に手をつけず生活できるはずのキヨコさんですが、最近、思い切って「3週間の住み込みリゾートバイト」に挑戦しました。

 

夫が健在だったころは、何気ない会話を交わして過ごしていました。しかし一人になると、社会との接点が極端に少なくなりました。

 

近所のスーパーで「レジ袋は結構です」と一言交わすのが、その日唯一の会話という日も珍しくありません。