(※写真はイメージです/PIXTA)
「長生きが怖い…」計算外だった“健康すぎる体”と貯金が底をつく不安
「80歳で使い切る」という想定に反し、カズオさん夫婦は80代に突入しても健康そのものでした。
予想外の長寿によって少しずつ貯蓄の取り崩しペースが狂い始めた矢先、1年前に愛する妻を見送り、カズオさんは独り身となりました。その葬儀や供養にも費用を投じ、気づけば3,500万円あった貯金は、現在はわずか50万円ほどしか残っていません。
「自分が83歳になっても信じられないほどピンピンしているのは、完全に計算外でした……。足腰も丈夫で、病院代もほとんどかからないんですよ」
本来であれば健康なのは喜ぶべきことのはずです。しかし、残高が50万円になった今、カズオさんは「自分は一体いつまで生きるのか」と怯えるようになってしまいました。
カズオさんは現在、年金だけで生活しています。かつての贅沢な暮らしで固定費は上がっており、冠婚葬祭や家のトラブルなどの急な出費すら痛手となる状況です。
「長生きがこんなに怖いなんて……。親友が遺したお金を虚しいと思っていたのに、今は少しでも残しておけばよかったと、毎日怯えながら暮らしています」
自分にいつ死が訪れるかなど、誰にもコントロールすることはできません。「お金を使い切る」という思い上がった決意は、皮肉にもカズオさん自身の首を絞める結果となってしまいました。
データが示す“人生100年時代”の実態…過半数の高齢者が実感する「貯蓄不足」
カズオさんのように、健康で予想以上に長生きした結果、老後資金が底をついてしまう「長生きリスク」は、決して他人事ではありません。
内閣府の調査によると、現在の貯蓄額が今後の生活の備えとして「足りない(少し足りないと思う・かなり足りないと思う)」と感じている高齢者は、過半数の57.1%に達しています。さらに、生活費の不足分をこれまでの預貯金の取り崩しで賄うことが「ある(よくある・時々ある)」と答えた人は61.2%を占めており、多くの高齢者が貯蓄の減少に直面しています。
長寿化が進む現代において、「寿命と資金の尽きるタイミングを完全に計算する」ことは不可能です。思い上がった決意で老後資金を使い切ってしまうのではなく、人生100年時代を見据え、いざというときのための余裕を残した資金計画が不可欠であることを、これらのデータは示唆しています。
[参考資料]
厚生労働省「令和6年簡易生命表」
内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」