厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳と世界最高水準に達しています。この「人生100年時代」において、老後資金を自分のために使い切るという選択は一見合理的ですが、自身の寿命を決めつけてしまうと取り返しのつかない悲劇を招きかねません。カズオさん(仮名・83歳)も親友の孤独死を機に3,500万円の貯蓄を使い切る計画を立てたものの、長生きリスクに怯える一人です。その実態に迫ります。
貯金は全部使うつもりだったのに…「老後資金3,500万円」あった年金月18万円・83歳男性、“想定外の長生き”に怯える老後 (※写真はイメージです/PIXTA)

歌舞伎、高級オーディオ、温泉巡り…「80歳で使い切る」という資産計画

カズオさんが選んだお金の使い道は、かつて仕事で忙しくて、やりたくてもできなかった「趣味」への没頭でした。

 

一席2万円する歌舞伎座の1階桟敷席に通い詰め、自宅には100万円以上する真空管アンプと高級オーディオを導入。1ヵ月かけて日本中の温泉地を巡ったり、週末には家族を誘って高級寿司を振る舞ったりして過ごしていました。

 

「本当に毎日が楽しくて、充実した人生を送れている手応えがありました。どうせ80歳にもなれば体も動かなくなるんだから、そこで使い切れれば完璧だと思っていたんです」

 

贅沢が日常になるほどお金を使ったというカズオさん。自分の寿命とお金の尽きるタイミングを、完全に計算したつもりだったのです。

 

しかし、人生には想定外のことが起こります。