若いうちから過度な節約と投資に励み、早期リタイアを目指す「FIRE」ムーブメント。しかし、資産を手にして自由になっても、心が満たされるとは限りません。内閣府の調査でも、独身の「非就業者」は社会とのつながりが希薄になり、強いストレスを抱えやすいというデータが示されています。マサヒロさん(仮名・46歳)も、20代からの努力が実を結び資産1億円でFIREしたものの、虚無感に襲われた一人です。最終的に彼が下した決断とは。その実態に迫ります。
(※写真はイメージです/PIXTA)
夢のFIRE…海外旅行で思い知らされた「お金では買えないもの」
マサヒロさんには、リタイアしたらずっとやってみたかったことがあります。それは「海外旅行」です。
バックパックを背負って、行ってみたかった国を巡り、これまで見たことのない景色や未知の体験に感動する毎日。何よりマサヒロさんの心を動かしたのは、旅先で出会う人々との温かい交流でした。
アメリカのグランドキャニオンでは、ハイキング中に出会った老夫婦と仲良くなり、家に招待してもらうことに。翻訳アプリを駆使しながら、お互いのこれまでの人生や大事にしている価値観について熱く語り明かしました。スペインでのサッカー観戦では隣のサポーターと肩を組んでゴールの喜びを分かち合い、タイのナイトマーケットでは相席した地元の人々と身振り手振りでコミュニケーションを取って乾杯。
言葉が通じなくても現地の人たちと笑顔で心を通わせた海外旅行での経験は、お金のことしか考えてこなかったマサヒロさんに、人とのつながりの素晴らしさを教えてくれました。
しかし、数ヵ月にわたる夢のような世界旅行を終え、日本の自宅へ帰ってきた途端、強烈な虚無感がマサヒロさんを襲いました。