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「資産1億円」でも孤独なら幸福度は低下…データで見るFIREの“隠れた側面”
内閣府が公表した「満足度・生活の質に関する調査報告書(令和7年)」を見ると、FIRE(早期リタイア)等による「非就業」が、独身者のWell-being(生活の質)にどのような影響を与えるかが客観的なデータとして表れています。
同報告書の分析によれば、配偶者がいない現役世代(64歳以下)において、「人々に認められている」や「人々や社会の役に立っている」といった社会との信頼関係を示す主観スコアは、就業者(正規雇用・非正規雇用)に比べて「非就業」の人が明確に低くなる傾向が示されています。さらに、同調査で「困ったときに頼りになる人」の数が「0人」である層は、ストレスを感じている状態(K6スコア5点以上)の割合が約66%に達することもわかっています。
どれほど多くの資産を築いても、仕事という社会的な役割を手放した結果、自分が社会の一部であり誰かの役に立っているという実感を失えば、本当の意味での生活の質は向上しにくいといえます。早期リタイアによって職場の人間関係を失い、かえって強い孤独やストレスに苛まれてしまう現象は、こうしたデータからも読み取れます。
「お金さえあれば幸せになれる」と信じて、24年間にわたる節約生活に耐え、見事「資産1億円」でFIREを達成したものの、予期せぬ虚無感から人生の軌道修正を図ることになった40代独身男性の事例を見ていきましょう。
家賃4万円のアパートに住み続け、24年間で目標だった「資産1億円」を達成
「資産が1億円を超えたときは、これで一生遊んで暮らせると浮かれていました。でも、虚しいだけでした……」
マサヒロさん(仮名・46歳)は、新卒で入社した中堅企業でシステムエンジニアとして激務をこなし、退職直前の年収は約820万円でした。
20代のころから「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」に憧れ、できる限り生活費を切り詰め、投資資金に回す生活を20年以上続けてきました。徹底した支出の最適化と複利の力が実を結び、ついに資産1億円という大台を突破。
新卒当初は手取り20万円弱でしたが、家賃4万円のワンルームの築古アパートを選び、固定費を徹底的に削減。流行の服や外食には目もくれず、自炊を基本としたストイックな生活を送りました。月8万円とボーナスの一部から投資を始め、20代の終わりには資産が1,000万円を突破。
30代で昇給して手取りが30万円台になっても生活水準は一切上げず、月15万円へと入金力を引き上げました。さらに、年収が800万円を超えた30代後半からは、月25万円とボーナス全額で年間約450万円を年利5%想定のインデックス運用に回す猛烈なラストスパートへ。そして、マサヒロさんは長年の夢を叶えるべく46歳で早期退職し、晴れて自由の身となりました。
今後の生活費は年間300万円程度と見積もり、1億円の資産を年利4%で運用しながら取り崩せば、税金や将来のインフレを考慮しても資産を減らさずに暮らしていけるという「4%ルール」に基づいて、今後の生活をする算段でした。