(※写真はイメージです/PIXTA)
額面増が招く「負担増」の境界線
企業年金は、企業が従業員の退職後の生活のために、国の公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして支給する「私的年金」の仕組みです。老齢基礎年金、老齢厚生年金、および企業年金はそれぞれ別々に繰下げを選択可能。逆をいえば、一緒に繰下げることもできます*。
*詳細や具体的な繰下げ利率は、加入している企業年金基金や規約によって異なるため、勤務先や基金の資料を確認する必要がある
しかし、日本の社会保障制度は所得が増えるほど負担率が上がる構造を持っており、増額分がそのまま可処分所得の増加に直結しない仕組みになっていることには注意が必要です。
厚生労働省の「後期高齢者医療制度」に関する資料によれば、窓口負担割合は原則1割(一定以上の所得がある場合は2割)ですが、現役並み所得者、具体的には単身世帯で年収383万円以上の条件に該当すると、負担は一気に3割へと跳ね上がります。加藤さんの「月34万円強」という受給額は、年額に換算すると400万円を超え、この境界線を突破する要因となりました。
また、地方税法に基づく住民税や、介護保険法に基づく介護保険料も所得に連動します。特に介護保険料については、市区町村ごとに設定される所得段階別料率が、年金額の増加に伴って数段階上昇することが珍しくありません。
繰下げによって月々の振込額を増やすことは長寿への備えになりますが、一方で医療費の窓口負担が上がるような「制度の壁」を超えてしまうと、増額分の多くが公的負担に相殺され、実質的な手残りが頭打ちになる現象が起こります。自身の企業年金の加算額なども含めたトータルの所得が、自治体の定める負担区分にどう影響するか、受給前に冷静なシミュレーションを行うことが不可欠といえるでしょう。
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