日本の公的年金制度は、現役世代が受給世代を支える賦課方式を採用しています。少子高齢化が加速するなか、将来的な受給額の目減りや支給開始年齢の引き上げは、もはや避けて通れない議論となっています。「もしも年金がまったくあてにできなくなったら……」。そんな世界も現実味を増しています。平均寿命まで生きることを前提としたとき、私たちは一体いくらの「貯蓄」が必要なのか、考えていきましょう。
「年金はあてにしない」世帯年収1,200万円・30代夫婦の悲痛な本音。インフレ加速で“年金ゼロ”なら老後資金「9,000万円」が必要な現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金保険料「払うばかり」で「戻る保障がない」

都内で働く高橋和也さん(36歳・仮名)。毎月の給与明細を見るたびに深い溜息をつくのが、もはやお決まりだそうです。その原因のひとつが、社会保険料の控除額。年を追うごとに着実に増えているのを実感するといいます。

 

「手取りが増えない最大の要因は、この保険料ですよね。自分たちが現役を引退するころ、保険料を払い続けてきた人が報われるほどの年金がもらえるのでしょうか?」

 

妻の真由美さん(34歳・仮名)も正社員として働き、夫婦合算の世帯年収は1,200万円を超えるといいますが、将来への不安からできるだけ質素倹約をモットーに生活しています。

 

「国は『100年安心』なんて言っていますが、それってどうなんでしょうか? 正直、年金はあてにしていません」

 

さかのぼること2004年。このとき、年金制度の改正で、積立金を活用しながら約100年間の制度の存続を保証するプランが導入されました。「年金100年安心」と耳にすることがありますが、その100年はこのこと。100年の制度存続を目指すものであって、給付額を維持するという意味ではありません。

 

「もし平均寿命まで生きられるとして、年金に頼らなくても暮らしていけるだけの貯蓄を準備しておきたいですよね。そう考えると、結構な金額になりますよね?」

 

高橋さんは、一度、簡単なシミュレーションをしたことがあるそうです。現在、夫婦2人、月の支出は35万円ほど。そのうち10万円はローン返済に充てています。もし老後、月の生活費が25万円だとすると、1年で300万円必要になります。

 

厚生労働省『簡易生命表(令和6年)』によると、日本人の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.14年。仮に夫婦ともに87歳まで生きるとし、65歳から老後がスタートするとしたら、22年間で6,600万円となります。

 

「でも、今みたいにインフレが続くと、当然、支出も増えていきますよね。いくら貯めても、暮らしていけないような気がする……将来を考えると絶望しかありません」