(※写真はイメージです/PIXTA)
「あんなに準備をしてきたのに…」老後を楽しめなくなってしまった父
実は、僕が「今」を大切にしてほしいと言うのには、個人的な理由があります。これは僕の父の話です。
父は地方の国立大学を卒業後、誰もが知る超一流企業に入社しそれからずっと同じ会社に40年以上勤めました。父は決して裕福な家庭で生まれたわけではないですが、一生懸命働きカネなしコネなしの状態から上場企業の取締役までいきました。「老後の楽しみのために」と60歳を過ぎてから、千葉の海沿いに別荘を買いました。さらに船を買って船舶免許を取って老後に釣りを楽しむための準備をしていました。
土日は大型バイクに乗って千葉に行ったり、家でうどんを打ちはじめたりと精力的に動いていました。父は僕や兄に「これまで貯めたお金は全部使いきるから君たちに渡すことはない。自分の将来のことは自分でなんとかしなさい」と言っていました。
そしてあと数年で定年退職を迎えるというタイミングで、父が倒れたと母から電話がきました。僕は急いで病院に駆けつけました。医者からは「くも膜下出血」で3分の1の確率で亡くなり、3分の1の確率で重度の後遺症(半身不随など)が残る可能性があるとのことでした。
無事に手術は成功しましたが、父は自力で歩くことが困難になり、脳にも障害が残ったため短期的な記憶ができなくなりました。同じ質問を1分後に繰り返すなど、過去の記憶が飛び飛びになりました。そもそも新しいことをやることに対する意欲が全くなくなっていました。あれだけ好きだった大型バイクや船、海沿いの家も全部売ることになり、定年後に楽しむことができなくなりました。
