(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、気管支喘息やCOPDなどの呼吸器疾患は増加傾向にあり、適切な診断と治療が求められています。開業にあたり内科的な一般的な診療に加え、「専門性」と「診断の質」を向上させることは、地域医療における差別化に直結します。本記事で「呼気NO測定器」と「スパイロメーター」のセット導入のメリットについて見ていきましょう。本連載は、コスモス薬品Webサイトからの転載記事です。

セット導入の具体的なメリット

呼吸器内科を開業する際に推奨される医療機器は、レントゲン検査などの画像診断に加えて、「呼気NO測定器」と「スパイロメーター」のセット導入です。この2つの検査機器を組み合わせることで、気道炎症の評価と客観的な呼吸機能の評価が可能となり、診断、重症度評価、治療効果判定において大きな武器となります。

 

とくに、他院では導入が進んでいない「呼気NO測定」を行うことで、「呼吸器専門クリニック」としての地位を確立できます。

 

呼気NO測定器

気道炎症の指標である呼気中一酸化窒素(FeNO)値を測定します。主に好酸球性炎症を伴う喘息の診断補助や、ステロイド吸入薬の治療効果判定に有用です。差別化のポイントとしては、患者様の負担が少なく、数分で測定が完了するため、患者様満足度の向上が見込めます。導入しているクリニックが少ないため、咳が続くなど気管支喘息が疑われる患者様の専門的な診療に役立ちます。

 

スパイロメーター

肺活量や一秒量などの基本的な呼吸機能を客観的に評価できます。喘息の閉塞性障害の確認や、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断に不可欠です。

 

呼気NOとスパイロメーター検査の結果を総合することで、気管支喘息・COPDの診断を含めた患者の呼吸状態の評価をより詳細に実施することができ、適切な薬物療法(吸入指導含む)と患者満足度に結びつけることができます。

 

どちらの検査も比較的簡便で、訓練されたスタッフであれば短時間で実施可能です。特に呼気NO測定は、患者様が軽く息を吹き込むだけであり、注射や採血が不要なため、小児患者の不安軽減にもつながります

「呼吸機能検査等判断料」の算定…導入コストと保険点数(令和6年度診療報酬改定に基づく目安)

これらの検査を実施し、結果に基づいた総合的な診断を下すことで、以下の保険点数を算定できます。機器導入の初期費用は、機種や契約方法によりますが、以下の通りです。

 

呼気NO測定器:約80万円~

FeNO測定は非常に有用な検査ですが、測定機器の機種によって価格は上下するものの、1回の測定にかかるランニングコスト(センサーやフィルターなど)は、医療機関が得られる呼気ガス分析の保険点数(100点=1,000円)を超えてしまうケースが多いのが現状です。この採算性の問題が、普及が十分でない一因として挙げられます。

 

スパイロメーター:約10万円~50万円

ランニングコストは主にマウスピース(定価で1個250円程度)のみであり、非常に低いです。

 

合計(概算):約90万円~130万円以上

 

リース契約や中古品の検討も視野に入れ、開業資金計画に組み込みましょう。

主な保険点数(概算)

セットで検査を実施し、総合的な評価を行った場合の診療報酬の目安です。

 

●呼気ガス分析(FeNO測定): 100点

●スパイロメトリー(肺気量肺分画測定+フローボリュームカーブ): 190点

●呼吸機能検査等判断料:140点

→上記の検査結果に基づき総合的な評価・指導を行った場合に、月1回限り算定可能となります。

 

呼気ガス分析(100点)とスパイロメトリー(190点)、呼吸機能検査等判断料(140点)を合わせ、430点(1回の診療につき概算4,300円)の診療報酬が見込めます。

まとめ:専門性と収益性の両立へ

「呼気NO測定器」と「スパイロメーター」のセット導入は、開業医として呼吸器内科の専門性を高め、地域で選ばれるクリニックとなるための戦略的な一手です。

 

FeNO測定にはランニングコストの課題がありますが、スパイロメトリーと「呼吸機能検査等判断料」を組み合わせた安定した点数算定、そして他院にない専門性による集患効果を総合的に見れば、機器投資に見合った報酬や増患が期待されます。

 

 

武井 智昭
株式会社TTコンサルティング 医師