入職前と入職後のギャップをなくす「透明性の高い採用活動」
多くの離職理由は「思っていた仕事と違った」「聞いていた話と違う」といった、入職前後のギャップにあります。
実例として「週休2日制」と記載していながら日曜祝日の出勤を強要する、正社員といいながら「契約社員」として1年契約で昇給なし…などという例もあります。
これを解消するためには、採用段階からクリニックの「ありのまま」を伝えることが重要です。リアルな情報を発信し、求人広告や面接では、よい面だけでなく、大変なことや課題も正直に伝えましょう。
たとえば「急な患者様の対応で忙しい時間帯があること」や「チームで協力して取り組んでいる改善点」などを共有することで、入職後のミスマッチを防げます。
また、実際の職場の雰囲気やスタッフの働きぶりを見てもらう機会を設け、半日や1日といった形で業務体験をしてもらうのも効果的です。これにより、応募者は「このクリニックで働く自分」をより具体的にイメージできます。採用面接だけでなく、実際に働いているスタッフと話すなど、同僚になるかもしれない人から直接話を聞くことで、職場の人間関係やチームの雰囲気をより深く理解できます。
柔軟な働き方を実現する「スマートな環境づくり」
現代の労働者は、仕事とプライベートのバランスを重視します。
とくに女性が多い医療業界では、結婚、出産、育児といったライフイベントと仕事を両立できるかどうかが、職場を選ぶうえで重要なポイントとなります。
人材確保の競争力を高めるには、従来の画一的な働き方を見直し、多様なニーズに応える柔軟な環境を整備することが求められます。なかでもシフトの柔軟性を高めることは重要です。
固定シフトではなく、スタッフの希望を最大限に考慮したシフト制の導入し、子どもの急な発熱や家族の介護などにも対応できる、お互いが助け合える体制を整えることが大切です。
潜在的な労働力を掘り起こす「多様な雇用形態の用意」
経験豊富だが、フルタイム勤務がむずかしいという人材を確保・活用するために、時短勤務やパートタイム、ワークシェアリング制度を積極的に取り入れましょう。たとえば「16時30分まで」「週3日」といった勤務形態を用意することで、眠っていた潜在的な労働力を掘り起こすことができます。
「辞めない職場」を作るうえで最も重要なのは、良好な人間関係と、だれもが安心して働ける心理的に安全な環境です。「患者様の様子」を見ながら「職場の雰囲気」を読んで柔軟に動けるスタッフは、こうした良好な環境から生まれます。
そのためには、院長がスタッフ1人ひとりと定期的に面談する機会を設けます。仕事の悩みだけでなく、プライベートなことまで話せる信頼関係を築くことで、不満が大きくなる前に問題の芽を摘むことができます。
また、院長や同僚が、日頃から「ありがとう」「助かったよ」といった感謝の言葉を伝え合う文化を醸成しましょう。些細なことでも感謝を伝えることで、お互いを尊重し、支え合うチームワークが育まれます。
明確な評価制度を設けることも重要です。院長の一存ではなく、客観的な視点で誰から見ても公平な基準でスタッフを評価します。頑張りが正当に認められ、インセンティブなどとして還元される環境は、スタッフのモチベーションを維持するうえで不可欠です。
「スタッフの心に響く要素」をどれだけ提供できるかが成功の鍵!
人材の確保は、クリニックの将来を左右する最重要課題です。給与や待遇といった目に見える条件だけでなく、「働きがい」「働きやすさ」「安心感」といった、スタッフの心に響く要素をどれだけ提供できるかが成功の鍵を握ります。
上記の3つを実践することで、クリニックという職場が「単なる働く場所」から、スタッフが「ここで長く働きたい」と心から思える「選ばれる職場」へと変わることができるでしょう。これは、ひいては質の高い医療サービスの提供、そしてクリニックの持続的な成長へとつながります。
武井 智昭
株式会社TTコンサルティング 医師

