母親の遺品整理をしていた息子の三島健一さん(仮名・55歳)は、仏壇の奥の引き出しから一枚の保険証書を見つけました。そこに書かれていた保険金額は500万円。受取人は、すでに亡くなっている母でした。父に先立たれたあと、母は貯金500万円と年金月15万円で倹約しながら生活を続けていました。「もしこの保険の存在を知っていれば」――。本来は母親の生活の支えになるはずだった「父が残した保険」はなぜ母親の元に届くことなく、 眠ったままになってしまったのか。事例を元に、CFPの伊藤寛子氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
仏壇の奥から出てきた「一枚の紙」まさかの内容に息子、呆然。享年82歳・頑固な父が母に遺した「届くことのなかった500万円」【CFPが「保険」について解説】
保険を埋もれたままにさせない対策
健一さんは急いで保険会社に問い合わせました。対応者の説明によると、保険金の請求は、本来は受取人である母本人が行うものだそうです。しかし、すでに母も亡くなっているため、相続人である健一さんが手続きを進めること自体は可能とのことでした。
それでも健一さんの胸には、複雑な思いが残りました。もし、父が亡くなった直後にこの保険の存在が分かっていれば、母親は年金だけを頼りに倹約生活をする必要はなかったかもしれません。
父はきっと、家族のためを思って保険に加入していたはずです。それでも、そのお金は本当に必要だったタイミングで、母に届くことはありませんでした。
生命保険には、保険金請求の期限が設けられていることが一般的です。多くの保険会社では3年程度、かんぽ生命は5年とされています。実際には、事情や証明書類の提出によって、期限後でも支払いに応じるケースもあります。ただし、長い年月が経過すると手続きが難しくなることもあるため、注意が必要です。
また、家族が亡くなった際には、保険契約がないか一括確認することが可能です。一般社団法人 生命保険協会が運用する「生命保険契約照会制度」を使うと、調査対象となる親族等1名につき3,000円(税込)の利用料で、協会の会員会社の生命保険会社に対して、契約の有無を一括照会できます。
相続のタイミングで活用すべき仕組みですし、認知判断能力が低下した場合(医師による診断が必要)にも利用することができます。
今回のケースでも、父親が亡くなった際にこの制度を使っていれば、父が加入していた保険の存在を知ることができたかもしれません。