定年の引き上げや再雇用制度の普及を背景に「年金繰下げ受給」への注目度が高まっています。65歳以降も働く人が増えたことで、その間は給与所得でやりくりしつつ、受給総額を増やすために繰下げを選択する人も増えているようです。しかし、なかには受給額の増額メリットが霞む“思わぬデメリット”に直面するケースも……年金を1年だけ繰り下げた66歳男性の事例をもとにみていきましょう。
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1年前に戻りたい…年金月17万円「1年だけ」年金を繰り下げた66歳元公務員の後悔【CFPが「年金繰下げ受給の注意点」を警告】
年金繰下げ受給の盲点
年金を繰り下げると、受給できる年金額が増えるのは確かです。しかし、タケオさんは“致命的なミス”を犯していました。
年金を繰り下げると「加給年金」はもらえない
加給年金とは、厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人が65歳になったとき、年下の配偶者を扶養している場合、配偶者が65歳になるまで受け取ることのできる年金です。
加給年金は、年金の「家族手当」のようなものですが、年金繰り下げ期間中は受け取れず、また後から受け取ることもできません。
タケオさんの妻は今年65歳になりました。タケオさんがもし65歳から年金を受け取っていたら、加給年金として415,900円が年金に上乗せして支給されていたはずが、1年繰り下げたために、受給権を失ってしまったのです。
同僚の言葉が気になり繰下げ受給について調べた結果、“本来もらえるはずだった年金”をもらい損ねていたことを知ったタケオさん。
「繰下げ受給なんてしなきゃよかった。1年前に戻りたい……」と後悔に打ちひしがれました。
年金受給タイミングの「正解」とは
年金は満額受給が可能となる65歳から受け取るべきか。はたまた、繰上げや繰下げをすべきか……正直に申し上げると、万人に当てはまる「正解」はありません。
減額された年金を早めに受給して人生を楽しむ人もいれば、繰り下げたことで介護資金を確保できたという人もいるでしょう。
後悔しないためには、「必要な時に必要なお金があること」がもっとも重要なのです。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表