神奈川県の「葉山」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか? 皇室の別邸である「葉山御用邸」をはじめ、「高級別荘地としてのイメージが強い」という人も多いのではないでしょうか。では、実際のところ葉山はどのような町で、どんな人が住んでいるのか、経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が、住民の声を交えながら「葉山の実態」を解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
飲食店店主「観光客より、地元の常連が安心」…住民の平均所得は10年で122万円増加〈神奈川県・葉山〉の実態【取材】
地元飲食店の店主が語る葉山の強み
前出の店主は言う。
「観光客より、地元の常連さんで回るほうが安心なんですよ」
企業経営に例えると、“LTV(顧客生涯価値)重視”と同じ発想だ。葉山は外部依存度を上げすぎない。内部循環で支える。
富裕層が好んで住むイメージが強い町同士で敢えて比較してみる。
まず、軽井沢はリモート時代を取り込みながら、町の機能の再設計によって成長を遂げた「再設計型成長モデル」といえるだろう。また、鎌倉は旧来の高所得構造から次の収益源への転換を模索中の「資産価値化転換期モデル」であるとする。
では葉山はというと、過度な拡張や観光依存に走らず、既存の居住価値とブランドを磨き続けることで所得水準を維持してきた「成熟安定モデル」と言ってよいのではないだろうか。
このモデルの強さは、“劇的に上がらない代わりに、劇的に落ちない”ことにある。成長率を誇る町は多い。だが20年後も同じ水準を保てる町は少ない。
葉山は、決して派手ではない。しかし構造は極めて戦略的だ。ここは静かな海辺の町でありながら、実は現代の日本において最も現実的な経営モデルを体現しているのである。
鈴木 健二郎
株式会社テックコンシリエ 代表取締役
知財ビジネスプロデューサー