420位から18位へ…軽井沢の「平均所得」

長野県北佐久郡に位置する軽井沢町。人口は約2万人で、長野県全体が人口減少に苦しむなか、軽井沢だけは首都圏からの転入者が増え続けている。人口が“自然増”に近い動きを見せる稀有な地域だ。

2024年の市町村別所得ランキングでは全国18位、長野県内では堂々の1位(平均所得568万円/給与換算約754万円)。「富裕層の別荘地」というイメージが強いが、それだけでは平均所得は上がらない。

※給与換算とは……本記事の平均所得は、税務統計に基づく「課税所得額」である。一方、実際の給与額に近い水準に補正するため、社会保険料や給与所得控除を逆算した概算値を「給与換算額」とした。

実は、軽井沢の「高所得地帯化」は10年単位でじわじわと進んでいる。

2000年代前半、軽井沢の所得順位は全国 400〜600位台に沈んでいた。2004年には420位、2005年は349位。その後も長いあいだ、上位とは言いがたい位置にあった。

ところが、2010年代に入ると潮目が変わる。2013年に149位へと急浮上し、初めて“100位台”にランクイン。その後の上昇はさらに顕著で、2014年には10位とトップ10入りを果たした。2015年以降も安定的に50〜100位台を推移しながら、2020年代に入ると再び順位を上げ、2024年は全国18位だった。

この変化は、避暑地としての魅力が再評価されたという話にとどまらない。観光依存を脱し、「働ける軽井沢」「暮らせる軽井沢」「価値を生み出す軽井沢」へ、地域経済そのものが変貌した結果、所得ランキングが上昇し続けているのである。