将来どれくらい年金が受け取れるかどうかは、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認することができます。しかし、その見込額に表示されている額がそのまま受け取れるかというと、そうとは限りません。特に、定年後も働き続けている場合、増額幅が大幅に少なくなるケースも……。66歳会社員の事例をもとに、“年金ルールの落とし穴”をみていきましょう。
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間違いだよな?…年金繰下げ中の年収750万円・66歳男性、日本年金機構から届いた“1通のお知らせ”にがく然【社労士CFPが「年金ルール」の注意点を解説】
年金繰下げ受給の盲点
老齢厚生年金は、65歳の前月までの厚生年金加入期間で計算された額に対し、繰下げで増額できることになってはいます。しかし、老齢厚生年金を受給する人が厚生年金に加入している場合には「在職老齢年金制度」の対象になるため注意が必要です。
在職老齢年金制度とは、月額で、①老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金、②標準報酬月額、③直近1年の標準賞与額の12分の1を合計して51万円(2025年度の場合)を超えると、超えた分の2分の1の①の年金が支給停止になる制度です。ちなみに、在職老齢年金制度の対象となるのは①の報酬比例部分であるため、老齢厚生年金のうちの経過的加算額や老齢基礎年金は対象外となります。
そして、仮に65歳から受給して上記①が支給停止となるような人が年金を繰り下げた場合、老齢厚生年金は「在職支給停止がかからない額」のみが増額対象となります。
Aさんは給与が高く老齢厚生年金が支給停止となるため、繰下げをしても老齢厚生年金(報酬比例部分)は一部しか増額されていなかったのでした。
ねんきん定期便の繰下げ増額の見込額は、在職停止が考慮されないまま70歳開始で42%、75歳開始で84%増えた額が表示されています。しかし、その見込額のすぐ上に「65歳以降で厚生年金保険の被保険者等である場合は、在職支給停止額を差し引いた額が、繰下げによる増額の計算対象となります」と記載されています。在職中の場合はこの点をあらかじめ確認しておかなければなりません。