(※写真はイメージです/PIXTA)
4,000万円あっても消えない老後不安
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、老後の生活についての考え方として「心配である」と回答したのは、「多少心配である」(40.3%)、「非常に心配である」(37.9%)を合わせて8割近くにも達しています。
さらに、すでに老後に突入している70代に限定しても、67.3%(「多少心配」38.8%、「非常に心配」28.5%)が生活不安を抱えています。
生活不安の正体について、70代に限ると、トップは「十分な金融資産がないから」(63.0%)。続く「年金や保険が十分ではないから」(53.1%)とともに、老後資金の不足が不安を増大させていることが見て取れます。ただ、周囲からは十分だとみられていても、本人が「お金が足りない」と不安を募らせているケースもあるでしょう。
また「生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから」(38.7%)と、昨今の物価高も老後不安を増大させている理由のひとつであることは明確です。
加藤さんが直面しているのは、単なる節約ではなく「社会的孤立」のリスクです。内閣官房「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和5年度)」では、約40%の人が何らかの孤独感を感じていると報告されています。
老後資金への不安から支出を抑える行動は、決して特別なものではありません。しかしその結果、人との交流や外出の機会が減れば、不安を避けるための選択が、かえって生活の満足度を下げてしまう可能性もあります。加藤さんの節約は合理的でした。ただ、それが人生の豊かさまで削っていないかという問いは、誰にとっても無関係ではないのかもしれません。