※写真はイメージです/PIXTA
数字が示す「複合勧誘」の広がりと対策
結局、健一さんは数週間にわたる交渉の末、サーバーの撤去とオプションの解約にこぎ着けましたが、設置費用や数カ月分の利用料、数万円の違約金は戻ってきませんでした。
こうした被害は、今や氷山の一角です。消費者庁「消費生活相談の概況」によれば、2024年度の高齢者(65歳以上)の相談件数は30万4,130件。前年から約2万6,500件増加しています。なかでも「通信・電気・ガス」関連は常に上位ですが、近年は1回の訪問で複数の契約を結ばされる「複合トラブル」が急増しています。
国民生活センターも、電気・ガスの切り替えをきっかけとした別サービスへの誘導に警鐘を鳴らしています。特に「今だけ無料」「まとめてお得」という言葉が、冷静な判断を鈍らせる要因となっています。
対策として、私たちは何をすべきでしょうか。同センターは以下の3点を挙げています。
●契約先の事業者名や契約条件などをしっかりと確認し、料金プラン等の説明を受けたうえで契約の要否を検討しましょう。
●契約の意思がない場合は、はっきりと断り、検針票の記載情報は慎重に取り扱いましょう。
●電気・ガスの契約と同時に別のサービスを勧誘された際は本当に必要かよく検討したうえで判断しましょう。また、契約後でもクーリング・オフ等ができる場合があります。
出所:国民生活センター『電気・ガスの契約トラブルにご注意!-ウォーターサーバーのレンタルなど、電気・ガス以外のサービスを勧誘されるケースも-』
健一さんは現在、母の通帳をオンラインで共有し、不審な引き落としがないか定期的に確認するようになりました。「『うちの親は大丈夫』という思い込みが一番危ない。リビングの変化は、SOSのサインかもしれません」と振り返ります。
生活インフラの見直しが活発な今、その影に潜む「見えない勧誘」から親を守るには、日常的なコミュニケーションを通じた早期発見が欠かせません。