「年金暮らしで余裕がないのだろう」――近所からそう同情される75歳の独居男性。築40年超の木造住宅に住み、地味な服装で静かに暮らす彼の正体は、実は「3億円」を保有する資産家でした。なぜ彼は、その豊かな資産を隠すようにあえて“貧しく見える生き方”を選んでいるのか。そこには、シニア世代が知っておくべき「お金を守る知恵」と、平穏な老後を守り抜くための深い理由がありました。CFPの伊藤寛子氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
人間って怖いから…〈資産3億円〉富裕層なのに築40年木造住宅に住み続け、地味な服装に身を包む75歳男性。「貧しそうな老人」に擬態する切実事情【CFPが解説】
本当の豊かさと、資産を守ることの重要性
市川さんは自分で淹れたお茶を飲みながら、穏やかにこう語ります。
「派手な生活より、静かで穏やかな毎日が続くほうが、ずっと豊かだと思うんです」
市川さんにとっての贅沢は、高級レストランやブランド品を持つことではありません。「明日、もし大きな病気をしても、誰にも迷惑をかけずに最高の医療を受けられる」という 安心感。そして、「誰にも利用されず、自分の時間を自分のためだけに使える」という自由です。
「見た目を貧しく見せているのは、卑屈になっているからではありません。大切な資産と、それ以上に大切な『平穏な日常』を守るための、私なりの戦略なんです」 そう語る市川さんの表情は、とても穏やかでした。
様々な情報が瞬時に広まり、金融犯罪が巧妙化する現代において、シニア世代にとってお金を「守る」ことの重要性は、これまで以上に高まっています。 見た目と資産は必ずしも一致しない。そして、ときに“貧しく見えること”も、最大の資産防衛になるのかもしれません。
伊藤 寛子
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)