本当の豊かさと、資産を守ることの重要性

市川さんは自分で淹れたお茶を飲みながら、穏やかにこう語ります。

「派手な生活より、静かで穏やかな毎日が続くほうが、ずっと豊かだと思うんです」

市川さんにとっての贅沢は、高級レストランやブランド品を持つことではありません。「明日、もし大きな病気をしても、誰にも迷惑をかけずに最高の医療を受けられる」という 安心感。そして、「誰にも利用されず、自分の時間を自分のためだけに使える」という自由です。

「見た目を貧しく見せているのは、卑屈になっているからではありません。大切な資産と、それ以上に大切な『平穏な日常』を守るための、私なりの戦略なんです」 そう語る市川さんの表情は、とても穏やかでした。

様々な情報が瞬時に広まり、金融犯罪が巧妙化する現代において、シニア世代にとってお金を「守る」ことの重要性は、これまで以上に高まっています。 見た目と資産は必ずしも一致しない。そして、ときに“貧しく見えること”も、最大の資産防衛になるのかもしれません。

伊藤 寛子
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)