管理組合の理事長は詐欺師の標的になりやすい

日本に賃貸ではない鉄筋コンクリート造の共同住宅である分譲マンションが現れて70年ほど経った。日本最古の分譲マンションは、1956年に竣工された東京都新宿区の「四谷コーポラス」だと言われているが、2017年5月に解体が決まり、建て替えが行われた。

四谷コーポラス以降、多くの分譲マンションが生まれ、その管理を円滑にするために1962年に「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)ができた。

もう半世紀以上前の法律であり、当時は修繕積立金や管理費が詐欺師に狙われるとは想定していなかったのだろう。マンションのストック戸数が増えるとともに修繕積立金も膨大になり、そのお金を狙う人たちが出てきたのである。

修繕積立金と管理費は住民にとって税金のようなものである。しかし、その使い方について、住民はそれほど関心があるようには見られない。私もその1人であったので偉そうなことは言えないのだが、住民の代表である理事会や管理会社が悪意を持っているとは考えないからだろう。

詐欺師たちが騙そうとしているのは管理組合であり、その中でも一番の標的は理事長である。

誰もやりたがらないのに強すぎる「理事長」の権限

分譲マンションの管理は「区分所有法」によって定められており、住戸の所有者は「区分所有者」と呼ばれる。

その中から管理組合を運営する理事が選ばれて、さらにそこから理事長が選出されるのだが、ほとんどの人がやりたがらないため抽選で持ち回りとしているところが多いのではないだろうか。任期は約1~2年で交代となる。

実は区分所有法によれば、理事長は「管理者」になる。理事会の長であり組合の実印も保管するという、国会で言えば首相と衆参の議長を兼ねているような立場だから、その権限はとても大きい。

もちろん理事会の承認なくしては何もできないが、その理事会は理事長と管理会社の意向で進められると言っても過言ではない。