通常、マンションの大規模修繕工事は「12年周期」が推奨されているそうです。しかし、一級建築士の建山晃氏は「まともに造られた建物であれば新築後12年で大きな問題が起こるとは考えにくい」と言います。では、自宅マンションの寿命を延ばすためにはどのような工夫が必要なのか、建山氏の著書『[新装版]マンションの大規模修繕でダマされない方法』(彩図社)から見ていきましょう。
マンション大規模修繕のタイミング「新築後12年が望ましい」は本当? 一級建築士が語る“マンションの寿命”の延ばし方
大規模修繕工事の理想的な計画
工事の基本的な考え方については、国土交通省が定める「長期修繕計画標準様式」に沿った計画を立てるといい。この書類は修繕についての考え方や長期計画を作成するために大変良く出来た書類なので、必ず読んでもらいたい。インターネットでダウンロードできる。
ただし、そこに書かれているのはあくまで基本的なことであり、いつ、どのような判断をして工事をすべきとまでは明記されていないので、それは今から書くことを参考にしていただきたい。
100年後までを見据えた大規模修繕工事のサイクルを目指す
ヨーロッパに行くと古い美しい町並みがあり、築100年以上の建物がたくさん残っている。パリの「フランクリン通りの集合住宅」もあのままの形でこれからも100年以上残るのではないだろうか。
日本でも今後はうまく大規模修繕工事を行った築50年、60年の建物があちこちで姿を残していくだろう。しかし修繕費を無駄に使ってしまい、修繕ができなくなったマンションは悲惨なことになる。修繕金の積み立ては新築後すぐに始まり、黙っていてもどんどん貯まっていく。
1回目(12年目)、2回目(24年目)の修繕費はそれほどかからないのだが、そのときに修繕費に余裕があると思い込み、コンサルタントの言いなりになって使い込んでしまうという話があるそうだが、これは絶対に防ぎたい。
30歳で購入した人もさらに30年経てば60歳になり、平均寿命まで20年以上あるのだ。マンションの資産価値の維持と効率的な修繕費の投入を意識して考えよう。
ほとんどの分譲マンションの管理規約では、12年をめどに大規模修繕工事をするのが望ましいと書かれていると思われる。だが、まともに造られた建物であれば新築後12年で大きな問題が起こるとは考えにくい。
長期修繕工事を計画するときは50年後、さらには100年後の姿を想像して計画すべきである。50年後に建て替えを念頭に計画するのと、建て替えなしで100年を考えるのでは、全く別の計画になってしまう。当初から建て替えを前提に計画するのであれば、大規模修繕工事はやらず最低限の修繕のみにすべきである。